第3部:学祭2日目
第11話『猛撃』
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。
誠は考えた挙句、
「あ……じゃあ俺が作るから、家でゆっくりしててよ。」
「え、でも……」
「遠慮しないで」
唯から離れた後、誠はマンションの入り口まで、唯の手を引っ張って連れていく。
おそらく親父は、唯を狙っているだろう。
家の中で少しかくまうだけでも、いいのではないか。
かたや唯は、胸がドキドキしてしょうがなかった。
つややかな檜のイスとテーブルがある、リビング。
壁に手作りパンの写真も飾られてある。
真っ赤なケチャップのかかったスクランブルエッグを作り、青菜やパンと一緒に差し出す。
「うわあ、おいしそう!」
「普通のスクランブルエッグだよ」
目を輝かせる唯に、誠は笑いながら答えた。
母さんは起きてないだろうか。
一方唯は、もじもじとちょっと恥ずかしげに、何か言いたげに、上目遣いで誠を見ている。
「ん……どうかしたの……?」
と、誠。
そわそわするのをやめ、唯はゆっくりと口を開き始めた。
「あのね……今日だけでも……学祭だけでもいいから、私と……付き合ってくれない?」
誠は、迷った。
学祭で一緒に女の子を連れていくということは、付き合っているということを証明することにもなる。
それを皆に見せるということは、つまり……。
だけど、目を離したら、そのすきを見て親父が狙ってくることだろう。
迷った挙句、彼は、答えた。
「いいよ」
「ほんと! ありがとう!!」
喜びでいっぱいになり、思わず唯は、誠の首に抱きついた。
そこから誠の顔を見ると、頬が紅潮しているのが見て取れた。
「ふふふっ。マコちゃんってかわいいねえ。」
「か、可愛いって……そんな……。あ、それと、ご飯はおかわりしていいから」
ドギマギしている。
「朝っぱらから何騒いでいるのよ……今日も夜勤なんだから、少しは親に気を使いなさいよ……」
母の部屋から、不満げな声。
それと共に部屋から、誠の母が出てきてしまった。
どうやら起きてしまったらしい。
「ごっ、ごめんなさいっ!!」
唯は思わず深々と頭を下げた後、そこから正座の姿勢となり、誠の母の目の前で土下座した。
「私、マコちゃんやマコちゃんのお母さんに、迷惑をかけるということは分かってたけど……どうしても、どうしてもマコちゃんに会いたくてっ!!」
言ってから唯は、ゴツンと額を床にぶつけた。
母も言い過ぎたと思ったのか、
「あ、別に……気にしなくていいわよ。あ、そうだ誠、ちょっとこっちへ」
誠は、しぶしぶ母に従った。
自分の部屋で、母は誠に低い声で問う。
「いったいこれ、どうなってるの……?」
「しょうがないじゃないか。俺が起きて窓をのぞいたら、唯ちゃんが来てたん
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