第四章
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る筈ないってな」
「そうだといいがね」
「絶対そうさ。それじゃあな」
「まあ、勝ったらまた来るんだね」
今度はバーボンのボトルをまとめて何本も俺達の前に出してきた。ついでにつまみでナッツもどかんと籠に入れてた。しかもチーズまで出してくれている。
「こうやって奢ってやるからな」
「流石だね、マスター」
「そうこなくっちゃ」
「情報役に立ったみたいだな」
店の扉の方から声が聞こえてきた。
「いや、何よりだよ」
「あんたのおかげさ」
声の方に顔を向けて不敵な声で返してやった。
「それもこれもな」
「そうかい。じゃあ俺もいいかな」
イタチだった。楽しげに笑いながら俺達のところに来る。
「入れてもらってな」
「あのバーボンはまだ手をつけてないのかよ」
「待ってたんだよ」
こう俺に返しながらカウンターに来た。
「ずっとな。あんた達が来るのをな」
「随分と律儀だな」
「俺らしいだろ」
「いや、全然」
イタチの今の言葉には首を横に振って笑ってやった。
「全くな。そうは思わないさ」
「随分と冷たいね、また」
「冷たくなんかねえさ」
ここでは笑顔になった。
「わかってるんだよ、あんたのことをな」
「そうなのかよ」
「それでだ」
イタチに対して尋ねた。
「あんたもまた忙しくなるぜ」
「ああ。キャッツの奴等は生き残ったらしいな」
「野良猫も案外しぶといぜ」
俺はバーボンをやりながら言った。
「また随分とな」
「喧嘩は当分続くってわけか」
「そういうことさ。それじゃあその時はまたな」
「ああ、頼まれてやるぜ」
「わかったらほら」
「あんたもよ」
仲間達はイタチを取り囲んできた。
「飲めよ、ほら」
「どんどんな」
「へへへ、悪いな」
「じゃあマスター」
俺がマスターにまた声をかけた。
「悪いが朝まで延長だ。それでいいな」
「ああいいさ、好きなだけやりな」
マスターが笑顔で返してくれてこれで決まりだった。俺達はそのままとことんまで飲んだ。喧嘩に勝ったらいつもこうだった。野良犬共の下らない、けれど楽しい喧嘩の後のパーティーだった。
DOGSvsCATS 完
2008・10・1
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