第二章
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おく」
「頼めるか?」
「おいおい、水臭いこと言うなよ」
今の言葉は笑いが入っていた。
「何年の付き合いなんだ?」
「そんな昔のことは忘れたな」
俺も言葉に笑いを入れてみせた。
「あんまりにも昔なんでな」
「そういうことさ。じゃあな」
「ああ、一時にまたな」
「かなり楽しみだぜ」
お互いに声が緊張を含んだ笑いになっているのがわかった。
「真夜中のパーティーなんて久し振りだからな」
「そうだよな。キャッツの奴等は多分全員だね」
「面白いじゃないか」
電話の向こうからまた言ってきた。
「そういうのがな」
「そうか。じゃあ派手になると思うぜ」
「ああ、じゃあな」
ここで電話を切ってバイクに乗った。アクセルを一気に踏もうとする。そして駅前まで行くとそこの普段はもう誰も使っていない掲示板に書いてあった。汚ねえ字で。
『一時にあの場所だ キャッツ』
宣戦布告って奴だ。ついでにこうも書いてあった。
『一人で来い。タイマンで決着だ』
「へっ」
今の書き込みには口の端を歪めて笑ってやった。
「大嘘つきが。いい加減それには乗らないぜ」
こう言ってからまたバイクを進ませた。そうしてその倉庫にまで来た。倉庫まで来ると気配だけが感じられた。あちこちから不気味な気配を感じる。
それに十字を切る。あくまでおどけてだ。おどけて十字を切るとそこで。キャッツのボスがその無意味にでかい身体を見せてきた。
「よお、来たな」
「ああ、約束の時間にはちょっと早かったか?」
「いや、丁度いいさ」
笑って応えてやる。奴の姿が満月の光で照らされてはっきりと見える。満月は俺の背中にあった。今は月の女神様が俺の守り神ってわけだ。
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