暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
ボス討伐戦
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そちらを見ると、キリトがさも面白そうに笑っていた。
キリトはゆらりと立ち上がると、キバオウに向かってゆっくりと歩き出した。あまりの異様さに、咄嗟に道を作るプレイヤー達の間をキリトは歩く。
その口から紡がれた言葉は、笑い声と同じく乾いていた。
「元βテスターだって?俺をあんな素人連中と一緒にしないでもらいたいな」
カツン、キリトのブーツがキバオウの目の前で止まった。
「な、何やと!」
恐れているのか、声を多少どもらせながら答えるキバオウ。
「SAOのβテストに当選した千人のうちのほとんどはレベリングのやり方も知らない初心者だったよ。今のあんたらの方がまだマシさ。」
腰に手をあて、高圧的にキリトは続ける。
「でも俺はあんな奴らとは違う。俺はβテスト中に他の誰も到達できなかった層まで上った。
刀
(
カタナ
)
スキルを知ってたのは、ずっと上の層で刀を使うモンスターと散々戦ったからだ。他にもいろいろ知っているぜ。情報屋なんか問題にならないくらいな……」
たっぷり数秒間、絶句したキバオウは掠れた声を絞り出す。
「な、何やそれ。そんなのβテストどころかないやんか!もうチートやチーターやろそんなん!!」
キバオウの悲痛な声に他のプレイヤー達も次々と賛成していく。
「そーだ!そーだ!」「その通りだ!」
その内、一人のプレイヤーが言った。
「βのチーター、だからビーターだ!」
その声にキリトはニヤリと笑う。
「ビーター、か………。いい呼び名だな。それ」
その言葉に、思わず絶句したプレイヤー達に向かって、キリトはゆっくりと言葉を紡ぐ。
「そうだ、俺はビーターだ。これからは元テスターごときと一緒にしないでくれ」
そう言って、キリトはメニューウィンドウを操作した。
すると黒いコートがキリトの革のハーフコートの上に出現した。
そしてきびすを返し、次層、第二層に続く階段に向けて歩いてくる。つまり、レン達がいる方向に歩いてくる。
キリトはレンとユウキ、アスナとすれ違う時に小さな声で囁いた。
「ありがとな」
「…………ッ!」
通り過ぎたキリトにユウキが何かを言おうとするが、レンに手で制される。
次層へ続く階段に消えていくキリトを見送るレン達のもとにパーティー解散メールが届いた。
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