第一話
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まうぞ」
「え゛」
そう言うと、彼女は耳栓をして元に戻った玄関から野次馬達の前まで出て行った。
「どうなってんだ!?」「家がひとりでに……」「何だあの娘」「うわスゲエ格好」「も、萌えーーーっ!萌えーーーーーッ!」
なんか一人危ない奴がいるなと思いつつ、俺は両手で耳を思い切りふさいだ。
耳を塞ぎつつ、玄関から彼女の様子を覗き見ていると、彼女はその場でホイッスルを吹き始めた。
俺はホイッスルの音は聞こえないせいかなんともないが、外にいる人たちは、どんどん目が虚ろになっていく。
彼女がホイッスルを吹き終わり、俺が耳をふさいでいた手をどかすと、外で騒いでいた人たちは、
「あれ?ここは一体……」「いつの間に外に出ていたんだ?」「早く帰ってアニメの続きを……」
ここで起こった騒ぎのことを忘れているようで、それぞれの家に帰っていった。
彼女が家に戻り、俺にこれで大丈夫だと言うと、一体野次馬たちに何をしたのか問いただした。
「今のは一体……それにそのホイッスルはさっきまで別の形を……」
「わかっている。これから共に暮らすのだしちゃんと話すさ」
家に戻ろうと背を向けた彼女は、はっと思い出したようにこちらを向き、大成功と笑い、親指を立てた。
「なるほど、これが緑茶か。この葉っぱの香りがなんとも……」
とりあえず落ち着いて話すために、自分の部屋に座らせ、お茶を出すことにした。
改めて彼女を見ると、やっぱり美しい。体は小さくても、お茶をすする姿はとても凛々しかった。
このままずっと眺めるわけにも行かず、まだ名前も知らない少女に話しかける。
「それで、あの、えっと」
「ああ、まだ名乗っていなかったな、私のことは春香と呼んでくれ」
「春香?」
「そう、地球で活動するためにつけた、いわばコードネームだ」
「そ、そうか。あ、俺は冬二。結城冬二だ。」
お互いに自己紹介を済ませ、気になっていたさっきの道具の話題に入る。
「それでえーっと、さっきの道具の話だけど」
「ああ、あれは今ここにある」
そう言って彼女……春香が髪を上げ、右耳を見せると、耳に銀色のイヤリングがあった。
どうやらあのイヤリングがさっきの道具であり、ホイッスルでもあるようだ。
「これはいろんな形になる。手のひらに収まる大きさ限定だが」
「それは…宇宙警察の道具なのか?」
「いや、母の形見だ」
形見、そう言った春香の表情が少し暗くなり、俯いたが、すぐに明るくなる。
「持ち主の清く正しい願いに反応し、形を変え、願いどおりの効果を発揮する。大きな願いなら、その願いも強いものでなくてはならない」
「じゃあ、さっき家が治ったのは」
「君……冬二
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