サタン降臨
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―――ブチッと音を立て、何かが切れた。
「あああああああああああああああっ!」
彼女の体から、凄まじい魔力が溢れ出す。
その魔力は地面を砕き、重力に逆らって浮上し、銀髪を逆立てる。
上空に、黒と紫を混ぜたような色の魔法陣が展開した。
「くっ!」
魔力と共に吹き荒れる旋風に、フリードは両腕で顔を覆う。
放出された魔力はミラを包み、その体を四角く分裂させていく。
魔力の放出が止まり、地面が重力に倣い、旋風が治まる。
――――――――煙が晴れた時、フリードの目に天然看板娘は映っていなかった。
長い銀髪を逆立て、顔の右半分、額から胸辺りまでにかけて細い傷を刻み。
両腕の肘辺りから下を人間のものじゃない異形の腕へと変え、太い尻尾を生やし。
レオタードのような形状をした露出の多い格好をし、血のように赤黒い口紅を付けて。
その表情に優しさは残らず、存在するのは――――――悪魔。
容姿も、表情も、全てにおいて―――――悪魔のような姿へと変貌したミラが、そこにはいた。
フリードが目を見開く。
その間にも、ミラは勢い良く地を蹴って跳び、フリードへと向かっていた。
「くっ!闇の文字、翼!」
それを見たフリードは自分の左腕に文字を描く。
その背中から左右対称の羽が生え、ミラの一撃を喰らう前に飛んだ。
「!」
すると、ミラは背中から悪魔のような羽を生やし、勢いよく飛ぶ。
フリードが目を見開いた瞬間――――――
「ぐはぁっ!」
気づけばミラは目の前におり、その左拳が決まった。
「うっ」
宙を3回転程し、ピタッと動きを止める。
俯いていた顔を上げ、悪魔と化したミラは一言言い放った。
「消す」
その言葉に、強さに、フリードは真っ直ぐミラを睨む。
石橋に仰向けで倒れるアルカは先ほどの魔力放出で目を覚ましており、漆黒のつり目を輝かせた。
「久々だな・・・2年ぶりか、アレを見るのは・・・」
空に舞うミラとフリード。
その2人を下から眺め、アルカは言葉を紡いだ。
「魔人ミラジェーンの接収・・・サタンソウル」
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