暁 〜小説投稿サイト〜
箱庭に流れる旋律
ヴァイオリニスト、登場する
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が迷宮になっていたせいで出ることすら出来ない。そして・・・

「なんですか、あの魔物!?真っ黒だし、何考えてるか分からないし、ギフトが効かないんですけど!」
「多分、向こうの曲の影響を受けてるのよ!」
「どうしてこっちより向こうが!?」
「分からないけど・・・多分、何か通ずるところがあるのよ!ほら、共感できる歌い方とか、そんなの!」
「確かに、それは有りますね!」

 僕もラッテンさんも、割と本気で逃げている。
 とくにラッテンさんは、口調が戻ってしまうほどにあせっている。先ほど服の中に入ってきたのがよっぽど気持ち悪かったのだろう。

「というかご主人様!?音響操作のギフト!道調べ・・・てください!」
「あ、やってみます!」

 ラッテンさんの口調が戻ったことに少し驚いたけど、気にせず走ることにした。
 ギフトを使いながら走るのは難しいけど・・・

「広い空間に出る場所が二箇所見つかりました!」
「ここから近いのは!?」
「ええっと・・・そこを右です!」

 僕の指示で道を選んで進んでいくが、全然逃げれる気がしない。
 魔物たち、まだ追ってくるし・・・

「ラッテンさん、どうしますか!?そろそろ追いつかれそうなんですけど!」
「クッ・・・ご主人様、もう少しスピード出ませんか!?」
「無理です!僕、歌以外は普通の人間なので!」

 ここまで逃げれていたことが奇跡みたいなもので・・・そろそろ体力的にも限界だったりする。

「なら、仕方ないですね・・・ご主人様!多鋭剣を貸して下さい!」
「どうぞ!」

 僕はギフトカードから多鋭剣を百本出す。
 そして、ラッテンさんと僕はその場に立ち止まる。

「さて・・・歌えますか?」
「スイマセン、後五秒・・・・・もう大丈夫です」
「じゃあ、いきますよ?」

 そして、僕は一つ深呼吸、ラッテンさんはフルートを口元に持ってきて・・・

「「剣の舞」」

 曲を、奏でる。
 そして、多鋭剣は全て魔物の方へと躍りながら、舞いながら進み、次々と切り裂いていった。

「最初っからこうすればよかったですね」
「確かに・・・まあ、あれだけ慌ててたら仕方ないようにも思えますけど」
「・・・ところでご主人様、みました?」
「何をです?」
「その・・・最初に魔物に襲われたときに、」
「さあ、行きましょう!」
「ちょ、ごまかさないでください!」
「あ、ほら。出口みたいなものもありますし」
「聴いていますか!?少し重要なことなのでしっかりと答えてください!」

 世の中には・・・知らなくてもいいことだってあるんです。
 少しみたいですし、話して気まずくなるのは避けたいです。

 向こうもそれが分かったようで、これ以上追求してくること
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