引き篭もり
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も確実。
財力も、権力も全てを兼ね備えた完璧なその男性を。
明は避けていた。
聞けば明には見えていたらしい。
暗が、明をただの輝かしい未来を得るための手段としてしか見ていないことが。
だから明はなるべく彼とは接しないようにして、出来るだけ避けてきた。
しかし、それにどちらかの総帥、もしくは両方が痺れを切らしたのだろう。
強制的な早期結婚を企てたらしい。
それがさっきの話という訳だ。
聞いた宏助の反応は至極あっさりしていた。
「なんだそれ。別に隠す話でもないだろ」
『・・・・・!』
一同に衝撃が入るが、宏助は気にしない。
だって本気でそう思っているから。
別に有り得ないことではない。明はあの神条財閥の一人娘だ。許婚位いて当然だろう。
そんなこと位話してくれても良かった。隠さなくても良かった。
こんなこと良くある話だ。強制結婚と言うのは少し可哀想だが、いずれ起こることが前倒しになっただけだろう。
まぁ、明さんが少しばかり聡明すぎたことが引き起こした事態だ。
しかし。周りの反応はそうはいかなかった。
「・・・お前・・・それはどういうことだッ!」
突然真に胸倉を掴まれ、壁に押し付けられる。
それを周りに止めるものはいない。麗でさえも、怒りで手を震わせている。
「明さんはお前を思ってッ・・・!」
真の怒りが、震えが直に感じられる。しかし、宏助の態度は変わらない。
「だから、こんなの良くある話しで、別に隠すようなことじゃ・・・」
ドカァン!
言葉が途中で途切れ、宏助が思い切り、床に叩きつけられる。
・・・一階でなければ、底が抜けていた。
「真・・・流石にやり過ぎよッ!」
「麗。これはコイツがわるい。明様がこれを何故言わなかったか。分かるまでコイツを殴り続けてやる」
流石の麗も止めに入ろうとするが、真の怒りがそれを静止させる。
そして、再び真が拳を握り、倒れた宏助に叩きつけようとしたとき、
グワン!
バシィッ!
「・・・・・!」
空気との摩擦で音をたてた拳は、いつの間にか宏助に掴まれていた。
真が怪訝に眉を寄せるが、宏助はその拳を離さない。
「・・・お前は考えたことがあるのかよ・・・」
「・・・・?」
「俺が気付いてねぇ訳ねぇだろッ!許婚、ってことは分からなくても!いくら鈍感な俺にだって分かる!
いつも明さんは俺といるとき、時々、何か自分に静止をかけるような悲しい目をするッ!
これ以上してはいけない、これ以上触れてはいけない、そんな風に自分を戒めるような・・・!
それに気付いていた俺がッ!お前にとやかく言われたかねぇんだよッ
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