Development
第三十話 融和
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け、彼女の急変の理由を察するのだがその瞬間殺気のようなものが増す。
「……何か失礼なこと考えました?」
「い、いえそんな。と、ところでなんでしょうか?」
これ以上余計なことを考えるのは得策ではない、と冷や汗をかきつつ紫苑は彼女に先を促す。ちなみに、簪の名誉のために言っておくが特別彼女が貧乳という訳ではなく、本音や楯無、さらには紫音(紫苑)といった豊かな女性が多いせいで彼女がそう感じているだけである……たぶん。
「……開発、手伝ってくれませんか? その、以前お姉……生徒会長から聞きました。あなたは整備や開発にも精通しているって。何を今さらと思われるかもしれませんが……お願いします」
そう言いながら頭を下げる簪。やはり少し震えているが、先ほどのように怒りで震えているというよりは今までの自分を曲げる行動をとることがまだ整理ができていない故だと思われる。
彼女とていつまでもこのままではいけないことは理解してても、納得できなかったのだ。切っ掛けが一夏の発言というのは締まらないが、もともと逆恨みに近い形とはいえ開発遅延の原因である一夏に対して怒りをぶつけるのは丁度よかったのだろう。
「はい……はい! もちろんです! 必ずトーナメントに間に合わせましょう」
一夏には悪いと思いつつも紫苑は簪から求められたことが嬉しく、とりあえず彼のことは思考の端に追いやった。それに、簪とて申し出る切っ掛けに使っただけのはずで、口ではこう言ってもそうそう無茶はしないはずだ。
「女の敵……許さない」
……たぶん、きっと。
最初こそ、自分が一夏を倒すと息巻いていた鈴だが簪の態度に気を抜かれてしまい、落ち着いたようだ。
そんな姿を見て、また結果オーライとはいえ彼女に助けられたことに感謝をしつつこの数日で格段に向上した自分の部屋の空気に浸った……いまだに某所から殺気が漏れてはいるのだが。
翌朝、晴れやかな気持ちで起床した紫苑はいつも通りにトレーニングをこなす。昨日のこともありその足取りは軽く、早めに戻って簪の分と一緒に朝食でも作ろうかと考えていると千冬の後姿を発見する。
その隣には見慣れない女生徒がいた。
何故、後姿で見慣れないと思ったか……それは彼女が小柄でこの学園では珍しい、自分と同じ銀髪だったからだ。一瞬、束の研究所の居候であるクロエの姿が紫苑の脳裏に浮かぶ。しかし彼女がここにいるはずがないと思いつつも束に繋がる可能性があるなら、と千冬に声をかけることにした。
「織斑先生」
声をかけた直後に千冬と一緒に振り返る銀髪の少女……彼女は眼帯をしておりクロエとは僅かに似た雰囲気を感じるものの別人とわかった。だが……
「……|Die Silberne Hexe《ディージルバーネ
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