Development
第三十話 融和
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。しかし、それを知るものはいない、当事者ですらお互いの誤解と曲解された噂を知らなかった。
「そ、そう。どちらにしても一夏は一度問い詰めないと……そ、そうね。仕方ないから部屋に行って話をしないとね。一人になって寂しがってるかもしれないしね」
いろいろと欲望駄々漏れである。
ちなみに、この時期になってようやく部屋の調整が済んだとかで一夏の部屋から箒が移動となり、彼は晴れて男女同居という歪な寮生活から解放されたのだった。一夏はホッとしたようだが同居人の心境は幾ばくか。
もっとも、部屋の調整といってもこの手の専門系の学校では割と起こり得る、入学後に突きつけられた自身の適性の低さを理解することで出る退学者を当てにしたものだ。そして今年は専用機勢が例年より多いことや、外部からの襲撃者により命の危険というものを少なからず感じてしまったことで数名が早くも自主的に学園を去ったのだ。
話が逸れたが、先日までいた厄介な同居人がいなくなったことにより以前より一夏の部屋は訪れやすくなっているとはいえる。もっとも、同じことを考える金髪少女がいたり部屋が違えど元々同居していた剣術少女も入り浸っていたりで彼女の欲望が成就することはないのだが。
結局この日はそのままいそいそと部屋を出て行った鈴を見送ることで小さなお茶会はお開きとなった。
鈴のその後がどうだったか、紫苑は翌日の不機嫌な彼女の姿を見て全て察した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「先輩がもっと真面目にやってれば被害も少なかったかもしれないんスよ」
「うるせぇ、テメェも宙で寝っころがって全然やる気なかったじゃねぇか」
相変わらず仲良く言い合いをしている二人を見ながら楯無は先日の出来事を振り返る。
前代未聞の事件となった無人機による学園の襲撃。もっとも、無人機ということは生徒職員含め箝口令が敷かれており、知るものは少ない。
が、この場にいる生徒会メンバーへの情報開示は防衛にあたった当事者ということもあり千冬の判断により紫苑に一任された。彼もコアの件などは伏せつつ、無人機であることなどは伝えている。
今は生徒会室にてその際の整理……いわゆる反省会といったところだろうか。
「ねぇ、紫音ちゃん。映像を見る限りアリーナ内に侵入したゴーレムは障壁を突き破ってるんだけど、このレベルの攻撃を受けて耐えられる?」
考えがまとまったのか、フォルテとダリルの言い合いはスルーしつつ紫苑へと疑問を口にする。
「いえ、それに少なくとも織斑君を撃墜した攻撃では障壁は破壊できないと思います」
紫苑もある程度疑問に思っていたことなのか、楯無の言葉に自身の考えを淀みなく答える。
二人の疑問、それはゴーレムの行動だった。
アリーナの障壁
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