Development
第三十話 融和
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だったら叩きのめしてたっての!」
襲撃事件から数日、もはや当たり前のように紫苑と簪の部屋にやってきて一緒にお茶を飲んでいた鈴。セシリアとの試合中に襲撃され、あまつさえ撃墜されたことがよほど腹立たしかったのか、その時の記憶が蘇り地団駄を踏んでいる。
ちなみに簪もごく自然に席に座り紫苑が用意したお茶を飲んでお菓子を頬張っている。三人でいても簪が会話に入ってくることはほとんどないのだが、話を聞いていない訳ではないようであるし美味しそうにお菓子を食べている姿に鈴や紫苑は癒されていたりするので文句は言わない。紫苑は餌付けしているような気分に苛まれているようだが、あながち間違ってもいないだけに鈴もフォローのしようがない。
また、紫苑はどことなくその癒される姿がこの場にいない彼女の御付の少女に重なり主従は似るものなのだろうかと考えたが、あまり似ていない自由な主と真面目な従者という主従関係を思い出して考えを打ち消した。その時、どこかの生徒会長が盛大にくしゃみをして周りに風邪を心配されていたとかいないとか。
「まぁ、あんな事があれば仕方ないですよ」
紫苑は今にも暴れ出しそうな鈴とわれ関せずを通す簪という構図に苦笑しつつ、まずは鈴を宥めようとする。
結局クラス対抗戦は無人機……紫苑が行ったコアの解析により機体名称がゴーレムと判明したその襲撃者により有耶無耶になってしまった。後日、日を改めての実施も提案されたのだがアリーナの修復と警備システムの再構築に時間がかかることと、すぐに学年別個人トーナメントが行われることから中止となってしまった。
学園としてはあくまでイベント的意味合いが強いクラス対抗戦よりも、より重要度が高い個人トーナメントを優先させる形をとったのだ。
「はぁ、でもよくわからないけど、あの時に紫音さんも救助作業手伝っていたんでしょ? その……ありがとね」
「ふふ……どういたしまして」
先ほどまで激昂していたように見えた癖に、いざそこに思い至ると素直に落ち着いて冷静になってお礼を言う鈴のことを紫苑は好ましく思い、思わず笑みが零れてしまったのだが鈴はそれを見て照れ隠しなのか顔を背けてしまった。
「ところで、次の個人トーナメントで優勝したら織斑君と付き合えるという噂を聞いたのですが」
「アタシも聞いたわよ! なんだっての……はっ、もしかして紫音さんも本気で狙ってるんじゃ……」
「狙ってません!」
紫苑が少し前に聞いたこの情報。実はいろいろと曲解されているのだが事実だったりする。
とはいってもとある少女が放った優勝したら付き合ってもらうという告白紛いの宣言に対して、買い物か何かのことだと勘違いした朴念仁が安請け合いした上にそれが外部に漏れ、対象が優勝者に拡大解釈されて噂が拡がった結果なのだが
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ