Development
第三十話 融和
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ここは襲撃者であるアンノウン機が秘密裏に回収され、保管されている部屋。学園の地下に存在する施設であり、この場所を知るものは数える程しかいない。現在もこの場にいるのは千冬と、解析に最適の人間だろうという彼女の独断で連れてこられた紫苑のみだ。
その件のアンノウン機。実はこれは無人機であり、世間的にこのようなものは現状は確認されておらずその事実だけでも驚愕的なもののはずだったのだが、束に近い位置でISに関わっていた紫苑と千冬にとってはそれはさして問題ではなかった。開発の過程で既にその可能性を垣間見ていたのだから。
各国は急に現れたISという兵器を前にして束より与えられた情報をまずは自分達のものにすることが急務だった。それもそのはずで、余計なことに感けていればその分他国に後れを取ることになるのだ。よって、最初の数年は少しでも早く、多くのISを配備するだけにとどまり応用的な研究はほとんど行われていなかった。
ここにきて各国のバランスがある程度固定され、第三世代の開発も進む中他の使い道も研究され始めている。そんな中に無人機が出てきてもそれほど不思議ではない。
問題はそこではなく、劣化版とはいえ新たなISコアが確認されたことである。
束は数年前のあるときを境に、ISコアの供給を完全にストップした。そのすべてのコアはナンバリングで管理されており、それ以外のコアを用いられたISなどが現れればすぐにわかるようになっている。
もちろん、今までの過程で破壊されたり行方が知れなくなったコアも存在するのだがコアに刻印された情報は消えはしない。つまり、今まで束が作ったコア以外は確認されていない……束以外にコアを作ることは出来なかったのだ。
(やっぱり束さんが……でも……)
襲撃時のハッキングが束によるものだったという疑念を既に持っていた紫苑。そこにきて束にしか作ることができないはずの新たなISコアの存在。この時点でほぼ彼女の犯行であったと考えられてしまう。
しかし、彼はある一点が気になっていた。
それはアンノウン機のコアがいわゆる劣化版、模造品だったことだ。
開発者の束であれば、そもそもそんな出来の悪いコピーを作る必要がなく新たなオリジナルを作ればいいだけだ。ちょっとした整備のついでに性能を数パーセントあげようとするくらい完璧主義者の彼女ならなおさらである。
新たに作れない理由があるのか、そもそも彼女の仕業ではなかったのか、紫苑にはわからなかった。
「……」
そんな紫苑の葛藤を察しているのかいないのか、千冬もまた彼の知らないところで別の考えを巡らせており部屋にはただ静寂が広がっていた。
「あ〜あ、結局クラス対抗戦は中止なんて。それにあのよくわからないヤツ……甲龍
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