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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
Development
第三十話 融和
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 今年のモンド・グロッソの優勝候補は、と聞かれると人によって様々な意見が出てくる。ある人はイギリス代表と言い、またある人はロシア代表だと言う。

 では、歴代の操縦者の中で最強は、と聞かれた場合その答えは一つしか出ない。

 ブリュンヒルデ……織斑千冬であると。



 この日学園に入り込んだ侵入者……アンノウンは合計で三機だった。その内の二機はアリーナの外で生徒会の面々によって対処された。
 一機はダリルとフォルテのコンビネーションによって、一機は楯無の圧倒的制圧力によってあっさりと無力化される。とはいえ、既存のISを凌駕する耐久力と明らかに時間稼ぎとも取れる行動により見た目以上に手こずり、時間を使ってしまった。

 ようやくアンノウンの反応がなくなったことを確認、その場をダリルとフォルテの両名に任せた楯無はすぐにアリーナに向かうが、既にその場のアンノウンは崩れ落ちていた。

 織斑千冬の手によって。

 彼女がその身に纏っている打鉄も手にしている刀剣武器も、セシリアが先ほどまで使用していたものだ。一夏がアンノウンを足止めしている間にセシリアと鈴を運び出した千冬は、セシリアの打鉄を纏い戻った。
 が、遥か前方で撃ち落とされる一夏の姿が見えた。一瞬我を忘れそうになるものの、無事であることは確認できたため、改めて怒りをアンノウンへと向ける。直後、千冬とアンノウンの距離はゼロとなり……そのまま文字通りに通り抜けて、その手で堕ち行く一夏を抱きかかえた。

 明らかに打鉄の性能を超えた挙動。一夏を抱きかかえつつもまだ手に持っていた刀はボロボロになり、身に纏った打鉄もやがて崩れ落ちていく。限界を超えた動きに耐えきれなかったのだろうか。
 地面から未だ数メートルの高さでISを失ったにもかかわらず、千冬は一夏を抱えたまま何事もなかったかのように着地した。

 そうして一夏を見つめる彼女の表情は無茶をした弟に対する呆れや、身を挺して幼馴染を守った弟を誇りに思う気持ちが入り混じっていた。



「それで、何かわかったのか?」

 襲撃時の出来事を思い出しながら千冬は目の前で作業をする人影に声をかける。

「……オリジナルに比べると細かい部分で違いがあるし劣化版のような代物だけど、間違いなくこれはISコアだよ。もちろん、未登録の」

 その人影……紫苑は千冬の問いかけに答える。
 その声色からは自分の言葉を認めなくない、そんな葛藤が窺えるように微かに震えている。

「……そうか」

 千冬もそれを感じたのか、今はそう呟くにとどまった。ある程度予測してはいたのだろうが、彼女としてもその事実を改めて突きつけられるのは少なからずショックであり、尚且つ現時点でこれ以上追及しても仕方がないと思ったのだろう。

 
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