第六話 Granza
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はいた。
だが、【こんなこれを】目の前にして、俺は、流石に動揺を隠せなかった。
それどころか、体が震える。
対面したのは敵。
たった二体だけで、それぞれゲージも一段しかない。
しかし、見慣れない紫ポインター。
だが、俺はこいつらを知っている。
そりゃあそうだろ……! コイツらは……!
「サニー! ホイミ!」
思わず俺が叫ぶと、目の前の二人は、光のない眼で、俺達へと視線を移した。
最後に見た、あの時となんら変わらない装備で。
手に持った槍と、盾は、今や中層となった、サニーとホイミが死んだ階層の装備。
普通に考えれば、勝てない敵じゃない。
恐らく、普通にスキルを使えば、勝てる。
だが……だが……!
そう思っていた直後。
突如、サニーが、口を開いた。
『まぁまぁ、大丈夫大丈夫。 ボクがいるから。 スキルも上がってきて、一層の雑魚なら大体一撃だからね』
その台詞に、背筋が凍る。
無表情のまま放たれた台詞は、何処までもあの時のままで。
まるで録音された声をサニーが放ったようだった。
『あの、えとー、ごめんなさい、準備に手間取っちゃって』
次に言葉を放ったのはホイミだ。
……悪趣味すぎるぜ、製作者!
恐らく、コイツらが喋ってるのは……そのキャラのログだ。
バックアップを取っていたキャラデータや音声ログを、ここで再利用してきてる……!
あのNPCのおっさんが言ってた言葉を言い換えればこうだ。
このクエストの内容は!
『石碑の奥に眠る、ゾンビを倒せ!』
こいつらは……プレイヤーにとって最も倒しにくい敵だ……!
しかし、ここで引くわけには……いかねぇよな!
「玖渚! 腹は括ったか!?」
「大丈夫! 知らない人達だから、デュエル感覚で倒しちゃうよ!」
そう言って、玖渚がサニーに向かって切りかかっていく。
しかし、そこで。
『スイッチ!』
突如、横からホイミが現れ、盾で攻撃を防いだ!
……まずは、盾から潰さないといけないってか。
だったら……!
モーション開始……!
「ウ、お、おぉォオオオオオオオオオオオオオオオッ―――――!!!!!!」
強制叫び声モーションと共に、バーサーク、発動!
この間は発声がちと難しくなるが……。
盾役を潰せるって考えたら、デメリットでもなんでもねぇな!
「ホイミィィイイッッッッ!!!!!!」
グリュンヒルを振りかぶり、ホイミへと斬りかかる。
この時にスキル、リミッター・ブレイクを発動。
一秒……!
『女の子になりたかったんだ、憧れがあったんだよ!』
横から切りかかってきたサニーからのダメージを受ける。
正直、これくらいと思っていたが。
ゲージの7分の1が一気に減る!
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