第六話 Granza
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6月13日。 27層、迷宮区。
刃物を削るような音と共に、槍を持った女性が、その空間に現れた。
「いやしかし、まさかソロである私が呼ばれるとは思わなかった。 金稼ぎのためにトップギャンブラーと組んでいた時期はあったとは言え。
よもやここまで有名人になっているとは思わなかった」
その女性は、ザサーダ。
快楽のために誰にもバレずにMPKを繰り返す、誰よりも正常で異常な狂人。
スユアとの関係を絶った後、彼女は再びソロになり、MPKを繰り返していた。
そんな彼女の前に、一つの影が現れる。
目にも留まらぬ速さで現れたその影は、ザサーダの前で停止した。
「自惚れるなよ。 MPK。 貴様も私も、有名になることなどありえない。 このゲームの闇の部分である我等は、話題になってはいけないのだからな」
その影は、HeavensDoor。
最速のPKを誇る、光速の殺人鬼。
HeavensDoorも、誰にも認知されずに、PKを行ってきていた。
「これはこれは、私をこの場に呼んだのは貴方か。 いやはや、想像していたよりも凛とした印象で驚きだ。
しかし、この私に何の用だ? 迷宮区では私に分があるぞ?」
冷ややかに、そして、落ち着いた物腰でそう口にするザサーダに、天国の扉は特に何も言い返さず。
ただ、ザサーダにとある申請をした。
それを見て、ザサーダは暫く承諾画面を見た後。
「面白い。 なるほど、こういった用か。 了承しよう。 して、これの目標は何だ?」
そう言って、目の前の了承ボタンを押す。
すると、天国の扉は冷ややかな笑みを浮かべた後。
「私達は存在しているが認知されない存在。 否、認知されてはいけない存在だ。
しかしやっていることは共通している。 ただやり方が違うだけ。 ならば各々がソロで活動するための情報交換を目的としよう。
面倒事など一切ない。 ただ、互いを切磋琢磨するためにも、週末には数の報告をしよう」
そんな天国の扉の提案に、ザサーダは薄く笑った後、疑問を投げかける。
「なるほど素晴らしい提案だ。 して、今のところは、私と君だけということかな?」
「いや、既に2人ほどスカウトしてある。 これで4人となったわけだ。 全員が異なる理由の犯罪者。
これが、私が理想とする、このギルドの方針だ」
そう口にして、天国の扉はその場から跳ね、壁から壁へと縦横無尽に跳ね回った後。
「『Dirac』。 物理的真空状態を指すこの言葉こそ、私たちのギルドに相応しい名だ。
これからも、各々の理由で禁忌を侵そうじゃないか」
そう言って、天国の扉はその場から姿を消す。
残されたザサーダは、クルクルと槍を回した後、構え、壁にあったスイッチを押す。
すると、隠し部屋が現れたが、ザサ
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