第一章 〜囚われの少女〜
千一夜の夢
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は思う。望んでもないのに生まれる事を強いられ、勝手に奪われるというのか。
「何て自分勝手なの?」
吐き捨てる。
「命とは何ですか? 運命とはどこまで勝手なのですか!?」
天に嘆く。
そして少女は嘲笑した。
「ああ、神様……。運命によって私を弄び、掌で命を転がし、そして握りつぶす。それで満足でしょうか? さぞ滑稽な事でしょう? こんな姿を見て、お笑いになっているのですか?」
――そうだというなら、それも本望。それでも、暇つぶし程度でしかないのだろうけれど。
そう思う事で自分に暗示をかける。
「せめて――それならせめて、あなた様の涙を下さい」
心の底にある、隠しきれない感情が湧き上がってくるような気がした。
彼方の空を仰ぎ、恵みの雨を待ち望む。勿論雨などは見たこともないのだが。
「一滴ばかりで構いません。花のように短い人生を演じた私へ、一滴ばかりの憐れみを」
(淡く、優しい。終わりのない夢をください……)
少女は何かを求めてか、虚空へ手を伸べる。
「お望みとあれば。今すぐにでも、あなたの元へと飛んでいきたい」
――姿を鳥に変えて。
生まれ変われるのならば。何も知らない、不自由や自由でさえも知らない、罪深き鳥の姿に生まれ変わりたい。
少女の手のひらにあったのは、一滴のしずく。
――
そうしてさらに夜は更け、空には赤く燃える火が登ろうとしていた。
その頃王宮には、何やらざわざわと風が吹き始めていた。
「女王様、大変です! ――」
−第八幕へ−
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