ロンリー=ソルジャー
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らないのかわからない程だ。
撮る前も撮った後もそのイラクの子供達や市民達に気を配らなくてはならない。時々イラクの人達が爆弾か何かに見える。触ったら大変なことになる。実際女の子はそうであった。
「そのおかげで俺達イラクじゃ結構評判がいいらしいぞ」
「ここまでやって悪かったら救いようがないけどな」
「まあ努力の結果ってことか」
「そうだな」
少なくともアメリカ軍等よりは評判がよかった。というよりは彼等の行動があまりなだけであるが。まさかあれ程掠奪や暴行が頻発するとは思わなかった。僕達にとっては信じられない話だった。
と言ってもここまで徹底すればそうもなるだろう。政治のことはあまり興味がないし言うことも憚れるが政府も無理をしてここに僕達を送っているらしい。その為の費用もかなりのものだという。
「結局お金か」
不意にこう思ったことが何度もある。僕達自衛隊は偏狭な自衛隊嫌いじゃない人達からもいろいろと言われることがある。それはお金の話だ。どうしてこんなに兵器等に金がかかるのかと。これは前から問題になっているらしい。
「このジープやトラックにしろ只じゃないんだ」
補給の先任陸曹にジープを乱暴に運転していてそう怒られたことがある。軍用ジープを多少乱暴に扱っても当然だろうと思っていたが自衛隊ではこれも違うのだ。兵器は大事に扱わなくてはならないのだ。
「一両百万単位なんだぞ。大事に扱え」
そしてこう言われた。こんなスプリングも入っていない、頑丈さもアメリカのやつに比べたらかなり疑問なこんなジープでもそれだけするのかと思った。そうしたら戦車とかは世界一高かった。とある本でそれを徹底的に叩かれていたのを見た。
「俺達よりこっちの方が凄い値段だな」
「俺達なんてこんなボロ隊舎にいるのにな」
教育隊にいた頃何十年使っているかわからない年代ものの二段ベッドでそんな話をしたのを覚えている。その他にも自衛隊は色々と金がかかる。それはこのPKOでも同じだった。こう思うと何か悪口を言われる為にここに来たようなものだ。だがそれでも僕はここに来たのだ。
「約束だからな、俺の」
僕はこっそりと約束していたのだ。僕の彼女に。その為にお金が必要だった。そしてここにいるのだ。
ここにいたらお金は日本にいる時より使わない。特別手当も出る。かなり貯まる。だから来たのだ。
「行ってきてね」
彼女は僕をこう言って送り出してくれた。本当にいい奴だと思った。
理由もあえて聞いてくれなかった。わかっているかも知れないけれど。
「うん」
僕は一言頷いてここに来た。そして今ここにいた。見上げると青い空と白い雲が広がっていた。
「あの空と白い雲も日本に繋がっているんだよな」
同僚も空を見上げていた
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