第七十一話 全ての光でその十
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「貴方はこれでもう」
「剣士ではないですね」
「戦うことはないです」
もうそれがなくなったというのだ。
「完全に」
「そうですか、では」
「それではですか」
「私はこれで去ります」
「この場から、そしてですね」
「戦いからも」
完全にだ、そうするというのだ。
「そうさせてもらいます」
「お疲れ様でした」
「誰も。人は」
剣士達、彼と同じ彼等をだというのだ。
「殺めることなく戦いを終えられて何よりです」
「願いを適えるのならですね」
「戦わなくて済むのなら満足です」
それで充分だというのだ、そう聡美に話してだった。
彼は女神達にも身体を向け頭を下げた、それから顔をあげて微笑みで言った。
「有り難うございました、私は救われました」
「いえ、私達は救いは」
「そうしたことは」
女神達は彼の今の言葉に少し戸惑いのある顔で返した。
「特にそんな考えは」
「戦いを終わらせたいだけなので」
「しかし戦いを終わらせるだけなら」
それならというのだ、ここで高代はその女神達に言った。
「私達を殺していけばいいですね」
「願いを適えられる前にですか」
「その前に」
「そうです、戦おうとする剣士達を」
かつての彼の様にだ、そう考えている剣士達をだというのだ。
「殺すなりしていけばよかったですね」
「それはそうですね」
智子が高代の今の言葉に答えた。
「戦いを終わらせる為には」
「それでいいですね」
「そうです、しかし」
「しかしですか」
「私達はそんなことは」
とてもだというのだ、そうしたことはだ。
「考えませんでした」
「そうだったのですか」
「神々は。致し方ない場合は」
これはとりわけ智子達はだ。人の傍にいる女神達はだ。
「人を殺めますが」
「そうでない場合は」
「そうしたことはしません」
人を殺す、そうしたことはというのだ。
「救いようのない罪人や多くを救う為にそうするしかない場合以外は」
「例え私達でもですか」
「殺したりはしません」
決してだ、そんなことはしないというのだ。
「何があろうとも」
「だからですか」
「しかも出来るからです」
「出来るからですか」
「はい、だからです」
それ故だというのだ、智子は上城に話す。
「貴方もまた」
「だから私を救ってくれたのですね」
「そうです、そして他の方々も」
他の剣士達もだというのだ。
「そうしていきますので」
「そして戦いを終わらせるのですね」
「そのつもりです、では」
「それではですか」
「戦いを。絶対に終わらせます」
智子が女神達を代表して告げた、そしてだった。
高代はその言葉を受けて戦場を後にした、後に残ったのは女神達と。
上城と樹里だった、樹
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ