第七十一話 全ての光でその六
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「私でも」
「姉様もですか」
「はい、手強いです」
負けない自信はないが苦戦は免れないというのだ。
「あれだけの強い武器を数多く持っていれば」
「そうなりますか」
「しかし。あの人は」
その高代を見た、そこで見出したものは。
「まだ負けてはいませんね」
「はい、全く」
豊香はここでは強く言った。
「身体的にも精神的にも」
「先程の攻撃はかなりのものだったと思いますが」
それをかわされ反撃に転じられたがそれでもだというのだ。
「ですがそれでも」
「気落ちもされておらず」
「疲れもありません」
それもなかった、やはり精神的にも身体的にも高代は全く消耗していない、意気はまだまだあったのだ。
それでだ、豊香は言い切った。
「あの方なら」
「勝てますね」
「勝つだけではありません」
それに留まらないと、今度は智子に話した。
「願いを適えられても」
「それからもですか」
「はい、大丈夫です」
高代ならばだというのだ。
「それを果たせられます」
「それだけの方ですね」
「そのことが今わかりました」
ケルベロスと闘いながらも全く臆していない彼を見てだ。
「必ずです」
「では」
「はい、このまま」
見ようと話してだ、そうして。
女神達も闘いの流れを見守った、闘いは何時しか遠距離戦から接近戦になろうとしていた。
高代は間合いを離して光の矢をまさに矢次はやに出し続ける、だがだったのだ。
ケルベロスは彼と同じく左右に素早く動きかわした、それはただ左右に動くだけではなく前にも出ていたのだ。
そうしてジグザグに進みだ、そしてだったのだ。
高代に接近していた、そうして。
口から毒を吐き出しもする、だがその毒は。
高代は剣で光の壁を作ってだ、それをバリアとして防いだのだった。
防ぎはしていた、だがそれは毒だけだった。
接近してくることは防げなかった、そして遂にだった。
接近戦に入った、ケルベロスはその毒を滴らせる三つの犬の頭の牙と無数の蛇の頭の牙で襲い掛かって来た。
しかも前足の爪もある、そこからもだった。
「爪からも毒が」
「うん、そうだね」
滴り落ちていた、樹里はその毒が下を溶かすのを見たのだ。上城もその毒を見て彼女に応えたのである。
「犬の筈なのに」
「あれじゃあ虎よね」
「やっぱり普通の犬じゃないのね」
「魔犬だからね」
それ故にだというのだ。
「ああしたことも出来るんだね」
「そうなのね」
「だからあの爪を受けても」
それでもだった。
「先生は倒されるよ」
「掠りでもすれば」
「あの毒に触れるだけでね」
まさにそれだけでだというのだ。
「終わるよ」
「そうなるわよね」
このことはこれまで話した通りだ
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