第七十一話 全ての光でその三
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「それからです」
「そうですね、では」
「勝って下さい」
豊香も言うことだった。
「そうして下さい」
「わかりました、それでは」
「全ては勝利を収められてです」
「戦いを終えるべきですね」
「私達が常に望んでいる結末を手に入れて下さい」
悲劇ではなく、というのだ。こう彼に告げてだった。
三人の女神達は戦いを見守ることにした、それは上城と樹里もだった。
二人は高代の背を見てだ、こう彼に声をかけた。
「先生、本当に頼みます」
「願いを適えて下さい」
「そして戦いを終えて下さい」
「そうして多くの子供達を助けて下さい」
「若し私にその資格があれば」
己の恥ずべき過去を思い出しながら言う、このことを。
「この闘いにも勝てますね」
「資格ならあります」
上城はそれは既にあると返した、それもすぐに。
「もう。ですから」
「後はですか」
「闘って勝って下さい」
そうしてくれというのだ。
「子供達の為にも」
「そう言ってくれますか。では」
「はい、それじゃあ」
「今からはじめます」
その手に剣を出した、剣は出した瞬間にその刀身から眩い光を出した。
そしてだ、彼はその光を放つ剣を両手に持ち構えて言った。
「私の最後の闘いを」
「グルルルルル・・・・・・」
ケルベロスは三つの頭からそれぞれ唸り声を挙げてきた、それと共に。
その耳まで裂けた口から出る唾液でグラウンドの土を溶かした、土は唾液を浴びるとしゅうしゅうと溶けそして紫の蒸気を出した。
その様子を見てだ、樹里は眉を顰めさせて上城に問うた。
「あれ、毒よね」
「うん、そうだよ」
「そうよね、確かケルベロスって」
「毒を持っているよ」
実際にそうだとだ、上城も答える。
「あの蛇達もそうだけれど」
「犬の頭にもあるのね」
「ケルベロスからトリカブトが生まれたらしいよ」
「トリカブトが」
樹里もトリカブトのことは知っていた、毒草しかも猛毒である。
「そこまで強い毒なのね」
「そうだよ、ケルベロスの毒はね」
「じゃあ少し間違えたら」
「死ぬよ」
文字通りそうなるというのだ。
「剣士っていっても身体は生身の人間だから」
「先生もなのね」
「うん、この闘いは厳しいね」
上城は真剣な顔だった、そしてその言葉も。
全く楽観していない、それで言うのだった。
高代もだ、剣を構えた状態で動かない。そうしてだった。
ケルベロスの隙を伺う、だがそれもだった。
「頭が三つあって、しかも」
「あれだけ蛇がいるから」
「それだけ目があるからね」
それぞれの頭に目が二つずつある、その目で見ているからだった。
「先生の動きを常に見ているからね」
「それで隙を見せないのね」
「見えていると隙は見
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ