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久遠の神話
第七十一話 全ての光でその一
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           第七十一話  全ての光で
 夜になった、その夜の中で。
 高代は彼が勤めている八条学園高等部普通科の校庭にいた、今その中は漆黒の中に覆われている。その中でだった。
 彼は前を見ていた、だがまだ剣は出していない。
 その彼の傍には上城と樹里がいる、二人は高代にこう言った。
「あの、もうすぐです」
「時間になります」
 そうなるとだ、二人は高代に話した。
「十時です」
「あと十分です」
「そうですか」
「もうすぐですよね」
「銀月さん達が来られるのですよね」
「そう聞いています」
 そうだとだ、高代も二人に答える。
「そして十時になれば」
「その時にですね」
「先生の最後の闘いがはじまるんですね」
「勝てば私の願いが適います」
 そうなるというのだ、
「ですがそれでもです」
「負ければですね」
「その時は」
「おそらく私は死に」
 そしてだというのだ。
「それで終わりです」
「勝っても負けてもなんですね」
 樹里はその高代の言葉にこう返した。
「そうなるんですね」
「そうですね、どちらにしても」
「終わるんですか」
「そう思うと気が楽です」
 言いながら微笑みにもなる。
「終わりかと思いますと」
「そうですか、じゃあ」
「何の気兼ねもなく戦えます」
 非常に楽だというのだ、気持ちが。
「それではですね」
「あと五分ですね」
「そうですね」 
 こう話してそしてだった、高代はあらためて前を見た。
 そこに三人の女神達が現れた、豊香を中央にして左右に聡美と智子がいる。
 小柄な豊香を左右から長身の二人が囲んでいる形だ、豊香から見て右にいる聡美が最初に言ってきた。
「是非勝って下さい」
「そしてだというのですね」
「はい、貴方の願いを適えて下さい」
 その緑の目で高代を見ながら言うのだった。
「絶対に」
「そのつもりです、私も」
「どちらにしてもこれで貴方の戦いが終わります」
「まずは一人ですね」
「そうです」
 聡美は高代の今の言葉に頷いて返した。
「そうなります」
「そうして一人ずつ戦いから降りていき」
「一人もいなくなれば」
 それでだというのだ。
「戦いは終わりますので」
「だからまずは私ですね」
「貴方には何としても勝って欲しいのです」
 それで闘いを降りて欲しいというのだ。
「それが私の願いです」
「女神である貴女の」
「もっと言えば私達の」
 聡美だけではないというのだ、こう願うのは。
「どうせ終わるのならば」
「快く終わればいいというのですね。ですが」
「ですがとは」
「いえ、ギリシア神話を題材にした劇は多いのですが」
 それこそホメロスからのことだ
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