第二章
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ろだけれど」
「うん」
「噴水があるのよ」
「噴水?」
「そうよ。けれど只の噴水じゃないのよ」
君は笑顔で述べてきた。明るい笑顔を今でも覚えている。
「そこから街中が見えて。凄い見晴らしがいいのよ」
「よさそうだね、それって」
「そうでしょ?だから」
彼女は僕に言ってきたのだ。
「今から一緒にね。どう?」
「うん、いいね」
まるで学生時代の恋のようにその言葉に頷いた。
「それじゃあ今からね」
「ええ、こっちよ」
すぐ後ろを指差した。そこには山があった。
「あそこを登って頂上なの」
「そこか」
「そうよ。山って言ってもそんなに高くないし」
「いいね、それって」
「だからよ」
僕を誘ってきたのだ。
「行きましょう」
「うん」
それを受けて僕は立ち上がった。そして彼女も。
「それじゃあ」
「ええ」
そのまま噴水のところに向かう。丘の上にそれはあった。
白いコンクリートで舗装された足元に周りは緑で覆われていた。そこに噴水がある。
「どう、ここ」
彼女は僕に顔を向けて問うてきた。
「綺麗でしょ」
「うん、凄くいいよ」
僕はその言葉に頷く。まるで別世界のように感じられた。
ふと噴水に目をやる、するとそこには虹が浮かび出ていた。小さいけれどそれは立派な虹だった。それが僕の目に入ってきた。
「ねえ、これ」
「ええ」
君は僕の言葉に顔を向けてくれた。そして虹を一緒に見る。
「綺麗ね」
「そうよね。この景色もいいでしょ」
「うん、凄くね」
彼女の言葉に頷く。街が全部見える。こんなに綺麗な街だとは思わなかった。
「また来ない?」
彼女は僕に声をかけてきた。街を見ながら。
「また」
「そうだな。また」
僕もそれに頷く。それもいいかも知れないと感じた。
「一緒にね」
「そう、また一緒に」
彼女はにこりと微笑んでくれた。すぐにまたここに二人で仲良く、そして楽しい気持ちで来るつもりだった。けれどそれは適わなかった。
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