第一章
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をエスコートしてカウンターに案内した。バーテンの前に二人並んで座った。
「ここなんだ」
「ここにこんなお店があるなんて」
「知らなかったの?」
そこだけ灯りがさしているカウンターのところで声をかけた。後ろのまだ誰もいない席のところには灯りはない。カウンターのところだけである。淡い白の光がグラスやボトルにはね返ってそこだけが眩しい。カウンターに置かれている空のグラスにはビー玉が入れられている。それも眩いけれど淡い白い光を反射させていた。
「ええ。バーはあまり行かないから」
「そうなんだ」
僕はそれを聞いて少し残念に思った。
「じゃあカクテルなんかは」
「あまり」
また僕に答えてくれた。
「飲んだりしないわ」
「そうなんだ」
「だからかえってね」
「興味がってやつ?」
「ええ」
こくりと頷いてくれた。
「よかったら。どんなのがいいか教えて」
「そうだね。だったら」
「クローバー=クラブ=カクテルなんてどうかしら」
「あれ?」
勧めてきたバーテンに顔を向けた。
「そう、あれよ」
答えて僕に妖しい声をかけてきた。
「どうかしら」
「あれだったらいいね」
僕はその勧めに頷いた。
「それでいいかな」
「それってどんなカクテルなの?」
「ジンを使ったカクテルでね」
僕は答えた。
「身体にもいいんだ。飲みやすいしね」
「へえ」
「まずは飲みやすい。それが大きいかな」
「そうなの。それじゃあ」
「うん。君はそれね」
「ええ。お願い」
これで君の最初に飲むカクテルが決まった。次は僕だった。
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