第三十二話
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でもそこの店長は私の師匠でもある。悪いようにはせんから安心すると良い。それに師匠ならアリスの願いを叶えてくれるかも知れん」
「それって」
「うむ、儂の師匠はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。今は結婚してエヴァンジェリン・M・テンリュウと名乗っておるのう。ファミリーネームから分かる通り彼女の夫はレイト・M・テンリュウ、『教授』じゃ、間違っても『形なきもの』と呼んではならんぞ。呼べばかなり態度が変わるからのう。注意するように、あとこれが注意事項とパスポートと飛行機のチケット、待ち合わせ場所までの地図と迎えにくる者の写真が送られてきておる」
ものすごい親切なんですね。写真には家族写真なのだろう写真なんだが、髪の毛が白い刹那さんらしき人と木乃香さん、少し違和感のある茶々丸さんとエヴァさん、それにエヴァさんの大人verと『教授』と思われる男性とそれによく似た男の子が映っていた。
どこからどう突っ込んでいいか分からない。とりあえず『教授』と呼ばれている人は転生者と考えた方がいいのだろうか?少なくとも普通の人では無いのだろう。
なぜ協力してくれるのかは分からないけどそれは会ってから決めてみましょう。飛行機のチケットは今から1週間後になっているので向こうに行く準備をしますか。
side out
side ???
「クルト、計画通りに細工は施したか」
『もちろんです。先程、メルディアナの方から連絡が来ました。それにしてもまだ元老院の中に腐って者が居るとは』
「組織である以上腐った奴が出てくるのは仕方が無い事だ。様は腐った奴を如何に処理するかが重要になる。その点で言えば今回の奴はあまりにも稚拙だ。組織というものをあまり理解していないようだ」
『その点には同意しますが、魔法の方が厄介かも知れません。まだ気付かれてはいませんが密偵が逆に洗脳されているようです。幸いすぐに気付いたので問題はありません』
「密偵相手に洗脳だと、確かにそれは厄介だな。数はあまり用意できないが対策用の魔法具を今度そちらに回す」
『すみませんがよろしくお願いします』
「気にするな。代わりに例の件ではよろしく頼むぞ」
『頼まれた以上はやりますけど正気なんですか』
「当たり前だオレを甘く見ている事を後悔させてやる。それに今更引き返せん。オレがどれだけ金をかけたと思ってるんだ」
『ネタに走ったために予算が莫大な事になったと聞いてますが』
「後悔も反省もしてないがな」
『こちらで使えそうならパテント料を払いますけど』
「そうしたい所なんだが版権の問題でな。デザイン料がバカにならん」
『中の技術だけを使えば良いのでは?』
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