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第二十九話 疑念
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り方。この癖に僕は覚えがある……それも身近に。
「あぁ、鈴!」
織斑君の叫びにモニターに目を向けるとアンノウンの攻撃を鈴さんが回避しきれずに崩れ落ちていく姿が見えた。オルコットさんが支えながらなんとか退避しているけれど、まだ攻撃は続いている。
もう一刻の猶予もない。未だに纏わりつく妙な感覚を振り払い、僕は作業に専念する。ふと、一カ所だけ甘い部分を見つけた……このピットからアリーナに出る扉だ!
「織斑先生、ここからアリーナへの通路を解除します。ただ、維持するために私はここを離れられません」
「……止むを得ん、織斑! 一時的に奴を食い止められるか?」
「あ、あぁ!」
「よし、私と織斑が突入する。織斑は足止め、私が救出に当たる。西園寺はオルコット、凰の両名を救出するまでこのまま継続しろ。山田先生はこの場で待機、指揮をとってくれ。織斑……くれぐれも無茶はするなよ」
通路の障壁が取り除かれるとすぐさま二人はアリーナへ向かって走り出す。
箒さんも動き出そうとしていたけれど、さすがに生身であの場に行くのは危険すぎると思いとどまったようだ。いや、千冬さんも生身なんだけど何故かあの人は大丈夫な気がする……。
しばらくするとモニター上に二人の姿が見えた。千冬さんはオルコットさんと鈴さんを出口に誘導し、その間は織斑君がアンノウンの気を引いている。
その攻撃は苛烈ではるが、織斑君もうまく躱している。とはいえ、攻撃まではできないようだ。
ふと、気づくと箒さんの姿が消えていた。
「山田先生! 篠ノ之さんはどちらへ!?」
「え、あ、あれ? どこに行ったんでしょう?」
狼狽える山田先生、しかしすぐにその居場所がわかることになる。
『一夏ぁ! その程度の敵、勝ってみせろ!』
ハウリングするほどの声がスピーカーから聞こえてくる。彼女はどうやったのか放送席にいた。どうもピットから放送席までの隔壁はおりていなかったようだ。
彼女がどういうつもりでこの行動に出たのかはわからない、でも明らかにこの状況ではよろしくない。
予想通り、アンノウンの視線が箒さんの方へと向き攻撃体勢にはいる。
まずい! あの機体は障壁を突き破って入ってきたことになる。となると放送席くらい消し飛ぶかも……!
ここから出来る限りの対処を考えていると、織斑君がすかさず飛び出していた。限界を超えた速度で加速し……その射線上にたどり着く。同時に放たれたビームの直撃を受け、織斑君は堕ちて行った。
「織斑君!」
僕は思わず叫んでしまう。いや、僕だけじゃない。この場にいる誰もがその状況に絶望した。しかし、その終止符はあっけなくうたれた。
『まったく、無茶はするなと言っただろう……だが、よくやった』
ま
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