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第二十九話 疑念
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と、何故か織斑君と箒さんが正座させられて千冬さんに説教されていた。その横では山田先生がオロオロしている。
「織斑先生! えっと……これは?」
「西園寺か、いや気にするな。状況を弁えず飛びだそうとした馬鹿どもに説教しているだけだ」
「ち、千冬姉! 俺は」
「黙れ、侵入者は奴だけではないのかもしれんのだぞ? 加えて素人に毛が生えた程度のお前が向かって何になる。そもそも隔離されたこの状況でどうするつもりだった?」
どうやら考えなしに出ていこうとして怒られているらしい。
緊急事態のはずなのになんだろう、この状況は。
「だいたい……ん、待て西園寺。どうやってここに入ってきた」
「あ、はい。たまたまピット前にいたので扉をその……弄って開けて入ってきました」
仮にも教師に向かって学園のシステムにハッキングしましたとは言いづらく、言葉を濁してしまう。
僕の言葉に織斑君と箒さんは信じられないものを見るような目でこちらを見ているが、何故か千冬さんは口元を釣り上げた。
「ふふ、そうか、そうだったな。西園寺、状況は理解しているな?」
「はい、侵入者がいると。生徒会も対処しているそうですが一部がアリーナ内に入ったと聞いています」
「うむ。オルコットと凰の試合中に乱入したアンノウンはアリーナのシステムに干渉、障壁シールドもレベル4となり扉も全てロックされた。現在両名はアンノウンと好戦しているが、状況は芳しくない。三年がシールド解除のためにシステムクラックを実行中だが……頼めるか?」
見れば、モニターでは手が長い、巨大な全身装甲型のISらしきものと二人が戦っているのが映っている。戦っているとはいえ、二人がかりでも防戦一方だ。これが専用機ならなんとかなったのかもしれないけれど、見た限り慣れない訓練機でどうにかなるとは思えない。
今も二人で戦っているということは、障壁が邪魔をして外から手が出せないのだろう。と、いうことは千冬さんが言いたいことは僕にその障壁を取り除いてほしいということだ。
「わかりました、やってみます」
「ここからならこのアリーナ全体にアクセスできるはずだ、頼んだぞ」
すぐさま僕は近くの端末に移動して、ハッキングを開始する。
次々に流れてくる膨大な情報を処理しながら僕は驚愕する。こちらが対処した部分がリアルタイムで次々と書き換えられていた。
僕は悲しいことに、ハッキング技術には自信があった。自分が望んで身につけた技術ではないし、誇れるものではないけれど。
それが、押されている。この状況ではこちらが完全に掌握するのは不可能だった。
しばらくイタチごっこを続けている中で妙な感覚を覚えた。僕は、もしかしたらこの相手を知っているかもしれない。とてつもなく優秀でいて、少し癖のあるや
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