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第二十九話 疑念
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の実力わからないけれど、少なくとも挑発のダシに使ったのは悪かったわ。アンタの言う通り悪い人じゃないみたいだし』
『そ、そうですの? でしたら許してさしあげますわ。わたくしのこともセシリアとお呼びください、お姉さまの良さがわかる人に悪い人はいませんもの』
『そ、そう。ならあたしも鈴でいいわよ。もっとも、この試合に負けるつもりはないけどね』
「それはこちらもですわ!』
何やら二人は盛り上がっているけれど、出来ればそういうのはプライベート・チャネルで話してくれないかな? 全部オープン・チャネルで駄々漏れなんだけれど。
僕の個人名が出たせいでさっきまでは疎らだった僕への視線が激増している。
あまりに居心地が悪くなってしまい、もうすぐ試合が始まるにも関わらず僕は席を立ちこの場を後にした。
さすがにあの状況では僕も周りのみんなも試合に集中できないので、残念ではあるけどモニターで観戦ができる場所を探すことにする。
もう試合は始まっているだろうから急いでモニターが設置されている場所を小走りで目指すものの、すぐにそれは中断させられた……会場全体を揺るがすような衝撃とけたたましいアラーム音によって。
明らかに異常な状態。気づけば通路の各部に非常用の障壁が下りており、完全に閉じ込められてしまった。
『楯無さん、何があったの!?』
『侵入者よ、正体不明のISらしきものが数機学園に入り込んだわ! 生徒会でも対処にあたっているけど一機アリーナ内に入り込んでるの。こちらも対処次第向かうけど、それまでお願いできるかしら?』
『わかった、ありがとう。僕はアリーナ側の対処にまわるよ』
プライベート・チャネルで楯無さんと連絡をとると、知らされたのは侵入者の存在。自然と去年の亡国機業による襲撃を思い出す。
とはいえ、正体がわからない以上相手を断定するのはよくないと思い直し、周囲の状況を確認する。対処するにしてもまずはここから出なくてはならない。
ふと、ちょうどこの通路はピットへの入り口前だったことに気付いた。ここからならアリーナ内に戻れるかもしれないと思い、さっそく扉の前まで移動する。しかしやはりというべきか、完全にロックがかかっており開く気配はない。
仕方がない、と僕は端末を取り出して扉にある認証装置へと繋ぐ。
そのままシステムに干渉することでロックの解除を試みるも、違和感を覚えた。
現在のアリーナの警戒レベルが最高になっているのだけれど、ところどころ外からの干渉を受けているのか正規の対応になっていない。通路がロックされているのもその一つだ。この状態では客席の人も身動きがとれないのでは……。
一刻を争う状況を悟った僕はそのままシステムの一部の乗っ取り、扉を解除して部屋に飛び込む。
する
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