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第二十九話 疑念
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は自分の失言に気付くも既に時遅し、さきほどまでの空気が一変して張りつめたものになっていた。
「いま……なんて?」
低く、重くなった鈴さんの声が聞こえてくる。いつの間にか僕の肩が両手でつかまれていた。
に、逃げられない。
「え、えっと……」
もしかしたらと思ったけどやっぱり鈴さんは、織斑君が箒さんと同室ということは知らなったらしい。いや、そもそも女生徒と同室だということすら想像していなかったのではないだろうか。
どちらにしろすぐに知られることになっただろうけど、彼女が自然と知ることと僕の口からその事実が知らされるのでは大きく違う。簡単に言えばドタバタに巻き込まれたくない!
いや、鈴さんの力にはなってあげたいと思うけどそれとこれとは違うよね? ね?
「紫音さん……?」
鈴さーん!? 瞳孔が開き始めてるよ! って、ちょっと肩を掴む力を強めないで!
このままでは巻き込まれる前になんだか鈴さんが危険な気がする、織斑君ごめんね!
「え、えぇ。どうもいつもより入学生が多かったとかで寮の部屋が足りなくなったみたいなの。部屋の都合がつくまでは家から通うという案もあったみたいだけれど、安全確保上入寮は急務だったみたいで半ば強引に。箒さんが選ばれたのは幼馴染だから幾分マシだろうという判断みたいよ」
保護対象をひとまとめにしたいという思惑もあっただろうけれど、あくまで僕の予想に過ぎないので敢えて口にはしない。
「そう、幼馴染ならいいのね」
どうやら正気に戻ったような気はするのだけれど、何やら聞き捨てならないことを言っている。
何がいいというのか。
「鈴ちゃん?」
「紫音さん、お茶ご馳走様! ちょっと引っ越ししてくる!」
「り、鈴ちゃん!?」
その行動は予想外! というかアグレッシブ過ぎでしょう。いくら鈴さんも幼馴染だからってそんな勝手に部屋の移動が許可されるとは思えないんだけど……なんといっても寮監は千冬さんなんだし。
止める間もなく鈴さんは鬼気迫る勢いで部屋を飛び出して行ってしまう。
僕は茫然としつつもできることは何もない、と織斑君の無事をただ祈るばかりだった。
しばらく後、予想通り修羅場と化した織斑君の部屋には人だかりができていた。
箒さんが鈴さんに竹刀で殴りかかったのを部分展開で防いだりといった危険な一幕があったようだけれど、結果としてすぐに鎮静化されたらしい。
え、なんで知ってるかって? 千冬さんに折檻された鈴さんから僕の部屋で延々と愚痴られたからね……。そのせいで寮の消灯時間をオーバーしてしまい、何故か部屋にやってきた千冬さんに再び捕まったのだけれど……僕まで巻き添えでね!
簪さんなんか僕らが話してるときは聞き耳たてていたのにい
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