第15話 初陣の戦果
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月花はグリドンに向かって駆け出した。
ブドウ龍砲の射線上をまっすぐ行っても、月花は体格が小さいので、頭上を弾が行くだけで当たることはない。
月花はグリドンの両足にタックルして、グリドンを後ろに押し倒した。そして、ぐわしと、グリドンの両足を抱え持ち、大車輪の姿勢に入る。変身したおかげで腕力はパワーアップしている。
5対1で勝つ? 一番イヤな奴に退場願う? そもそもこのグリドンは前提から間違えている。
『あたしは元々、龍玄の助っ人に来たのよ!! えい、やああああああああ!!』
『え、ちょ、それありぃいいいいあああああ!!??』
月花はグリドンをぶん回した。ぶん回した。ぶん回した。
『飛んでっ……けぇー!』
月花が手を離す。グリドンが飛ばされた先には――階段の上でブドウ龍砲をチャージした龍玄。
顔が露出していたなら、おそらくにやっと笑う光実が見られただろう。
龍玄がトリガーを引いた。龍の息吹のようなエネルギー砲がグリドンに命中した。
グリドンは階段に落ちて、転がって、止まる頃には変身が解けていた。
「き、今日はたまたまっ、調子悪かっただけだからな!」
城之内はドライバーを拾うと、一昔前の小悪党のようにぴゅーっと逃げていった。
鎧武のほうは鎧武で、黒影の撃退に成功したらしい。いつのまにか初瀬が消えていた。
何とか勝てた。
安心感から月花はその場にへたり込んだ。その拍子に変身も解けた。
「咲〜〜〜〜っ!」
「へ……ひゃあ!?」
トモとナッツが左右から咲に抱きついた。全員がフェンスを乗り越えて駆けつけてくれたらしい。
「すごかったよぉ。メッチャかっこよかった!」
「やっぱあんたサイコーだわ!」
モン太もチューやんもヘキサも、興奮した様子で咲を褒め称える。こうはしゃがれると、まんざらでもない気分になってくる。咲はえへへ、と笑った。
すると、咲たちのちょうど前を、変身を解いた光実が走って行った。
「紘汰さん!」
行き先は葛葉紘汰とチーム鎧武のもと。光実は紘汰と握手し、仲間たちと健闘を讃え合っている。
「あたしたちも行こう。これ以上はおじゃま虫みたいだし」
「だね」
「立てる?」
両側からヘキサとトモが咲を支える。モン太とチューやんが先導し、ナッツが後ろに付いた。
仲間の肩を借りて、咲はその場から去った。
「そうだ、ミッチ! さっきの子たちは」
「あれ? さっきまで向こうにいたんですけど」
「まだ礼も言ってねえのに……」
「ピンチに颯爽と現れて人知れず去る、ですか――まるでスーパーマンですね」
「だな。今度会えたら、ちゃんと話してみてえな」
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