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恋のレッツダンス
第二章
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第二章

「シャンパンな。一ダースな」
「一ダースかよ」
「また随分と派手に注文してくれるな」
「絶対にそうならないって思ってんだろ?」
 また言ってやった。
「俺が彼女とそうはな」
「ああ、その通りさ」
「なる訳がねえさ」
「絶対にな」
 皆もまた随分と自信たっぷりに返してくれた。
「あの娘だけはな。絶対に無理さ」
「ほら、言うだろ?」
 そして一人が俺に言ってきた。
「恋は小鳥みたいなものだってな」
「それってどういう意味だよ」
「移り気ってことさ」
 そいつは俺にこう答えてきた。移り気だって実際に。その言葉また俺にとっちゃとても気に入らないものだった。内心少しばかり頭にきた。
「移り気な。特に女の子はそうさ」
「女はかよ」
「その中でもあの娘はな」
 そしてその俺の意中の娘の話にもなった。
「すげえぜ。あれはよ」
「だから何度も言ってるだろ」
 俺もあえて言い続けてやった。
「そんな手強いのを陥落させてやるってな」
「ホオジロザメを銛だけで倒すってのかよ」
「無茶だぜ、それはよ」
「銛?そりゃ違うな」
 俺はここでこの前観た映画のことを思い出した。確かジョーズって映画だ。鮫の奴が派手に暴れ回っていて随分と迫力があったのを覚えている。
「俺は船に乗ってるんだよ」
「船かよ」
「鮫よりずっとばかでかくて大砲まで持ってる船にな。乗ってるんだよ」
 それが俺だってことを。はっきりと言ってやった。
「だから御前等が心配することはねえよ」
「言うねえ。何処まで強きなんだよ」
「じゃあまあその船で進むんだな」
「ああ、ダンスは何時からだ?」
 今度はダンスの時間を尋ねた。
「それでな」
「ああ、もうすぐだぜ」
「もうちょっとしたらだな」
 仲間達はここでは親切に俺に教えてくれた。
「それまでどうするんだ?」
「彼女でも探すのか?」
「いや」
 しかし俺はそれは断るのだった。
「今はな。探さないさ」
「あれっ、事前の用意とかしないのかよ」
「また何でだよ」
「もう用意はしたさ」
 俺は今は表情を消して答えた。
「それはな。してあるさ」
「っていうともうプレゼントとか用意してあるのかよ」
「早いな」
「大砲には弾を込めておくもんだろ?」
 これが俺の返答だった。
「だからだよ。もう用意してあるんだよ」
「大砲はもうあるのかよ」
「そうさ。これで仕留めるんだよ」
 一応俺もそんなものは用意していたってわけだ。まさか何も用意しないで要塞に乗り込むつもりはなかった。流石にそんなに馬鹿じゃない。
「いざって時はな」
「そうかい、今の御前は将軍ってわけか」
「シャーマン将軍か?パットン将軍か?」
 どいつもこいつもまた笑いながら俺に言ってきてくれた。
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