第百四十九話 森の奮戦その九
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「三千でも先に行けばな」
「援軍として行けばですか」
「それで、ですか」
「与三殿は」
「お助け出来る」
そしてその後で残りの七千の兵が来ればいいというのだ。
「ここぞという時に三千の兵が来れば大きく違うからな」
「ですな、確かに」
「援軍が来れば」
家臣達も応える、そしてだった。
長政は七千の兵にこの場を任せた、それだけあれば今のかなり兵が減り算も乱している門徒達ならば大丈夫だからだった。
彼自身はすぐに三千の精兵で先に進んだ、その彼に家臣達が言う。
「ではここはお任せ下さい」
「必ずここの門徒達は平定します」
「そして宇佐山城に向かいます」
「そうしますので」
「頼むぞ、ではな」
「はい、それでは」
「今より」
こうしてだった、浅井家の面々は長政が先に向かい他の者達が守った、そして。
森はその衣攻め寄せる門徒達と死闘を展開していた。、門徒達は十倍の数で昼も夜も飽くことなく攻めてきている。
その彼等をだ、森は防ぎながら言うのだった。
「妙じゃな」
「?妙とは」
「門徒共がですか」
「そうじゃ、昼に来るのはわかる」
彼等が昼に攻め寄せて来るのは、というのだ。
だが、だった。ここで長政はこう言うのだ。
「しかし夜じゃ」
「夜に来ることはですか」
「それが、ですか」
「うむ、わからん」
そうだというのだ。
「そこが気になるな」
「確かに、門徒達は百姓です」
百姓は朝早く起きて夜早く寝る、田畑の仕事だからだ。
だが今城を囲む門徒達、彼等はなのだ。
「しかしですか」
「今の門徒達は、ですか」
「そう仰いますか」
「夜も来る、しかもかなりの数じゃ」
それがだというのだ。
「妙にな」
「ですな、確かに」
「昼も夜も同じ数で来ます」
「かなりの数で」
「これは」
「本当に百姓か」
こうまで言う森だった、自ら槍を振るいながら怪訝な顔で。
「動きも妙じゃ、百姓というよりは」
「忍ですな」
侍頭の一人がこ言って来た。
「それですな」
「御主もそう思うか」
「全ての者がそうではないですが」
「多いのう」
「はい、中に」
その門徒達の軍勢の中にだというのだ。
「雑賀衆がここに来ているとも思えませんし」
「その通りじゃ、それはない」
森も言う。
「どう考えてもな」
「ですな、ではこれは」
「わからぬ、どうしてもな」
森は槍で城壁を登ってきたその妙な動きをする門徒の一人を槍で突き落とした、もう何十人もそうしているがそれでもだ。
門徒の数は減らない、その中で言うのだった。
「この者達、まことにただの門徒か」
「ですな、どうも」
「妙です」
兵達も首を捻る、だがだった。
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