第百四十九話 森の奮戦その七
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その大軍にも臆することなく突き進む、その中で整えさせた陣形は。
「鋒矢じゃ」
「その陣形ですな」
「それで突き進み、ですな」
「敵軍を一気に突き破る」
その大軍をだというのだ。
「そして後はじゃ」
「後はですな」
「突破した敵陣を」
「さらに攻める」
ただ一度突き破るだけではないというのだ、反転して。
「そうするぞ、それで敵を減らしてじゃ」
「残った者達に抑えの兵力を置いてな」
そしてだというのだ。
「主力は宇佐山じゃ」
「ではそうして」
「今は」
「このまま攻める」
既に一向宗の門徒達は身構えている、鉄砲を構え矢をつがえている、しかし長政はそれを見ても臆するところはない。
後ろに続く一万の兵にだ、こう言うだけだった。
「屈め!」
「身を屈めそのうえで」
「このままですな」
「そうじゃ、突き進め」
進む速さは緩めるなというのだ。
「わかったな、それで」
「はい、では」
「このまま」
兵達も応える、そうしてだった。
彼等は長政の命じるまま身を屈めさせた、足軽達も騎馬の者達もだ。
それで速さも緩めない、そして。
鉄砲の弾を頭上にかわし弓矢の雨を降り注ぐ前に通り抜ける、そうして。
門徒達に突き進む、その中で。
兵達にだ、長政は命じた。
「弓を放て!」
「前にですな!」
「駆けながら」
「そうじゃ、放て!」
荒事だった、駆けながら弓矢を放つなぞ。
しかし長政はあえてそれを命じた、そうしてだった。
実際に弓矢を放って彼等を撃った、それで怯ませたところに。
一気に突っ込んだ、槍を突き出し刀で斬る、そうして門徒達を次々と倒し。
彼等を一気に突破した、四万の軍勢灰色が多い彼等のそれが真っ二つに割れた。
そしてそれだけでなくだ、さらにだった。
反転し再び突っ込む、そうして彼等を総崩れにさせた。
その総崩れになった彼等にさらに攻めながらだ。長政は門徒達に言った。
「降れば命は奪わぬ!」
「降れば!?」
「それで命は」
「そうじゃ、無駄に命を粗末にするな!」
こう言ったのである。
「よいな!」
「どうする、ここは」
「そうじゃな」
門徒達の中に動揺が走った、それで彼等を率いる灰色の服を来た僧侶達もだった。
まずは顔を見合わせてだ、こう話したのだった。
「そうじゃな、ここはな」
「うむ、顕如様も言っておられたしのう」
「命は粗末にするなとな」
「そう仰っていられたことであるし」
「それならば」
こう話ししてそしてだった、彼等は灰色の服を着た門徒達に命じたのだった。
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