暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
第七十話 富と地と名とその十二

[8]前話 [2]次話
「お互いに育てるものなのですね」
「えっ、先生もですか?」
「生徒に育てられるんですか?」
「はい、私は今このことを実感しています」
 このうえなく優しい微笑みでの言葉だった。
「これまではそれ程感じてはいませんでしたが」
「今はなんですか」
「そのことを」
「感じています」
 そうだというのだ。
「このことは貴方達もやがて理解されると思います」
「いや、生徒が先生を育てるなんて」
「それはないですよ」
 このことは二人共わからなかった、樹里もだ。72
 だから学校に向かうその朝の道でだ、今は首を傾げさせた。
「そんなことあるんですか」
「有り得ないと思いますけれど」
「人は誰も教師であり生徒です」
 こうも言う高代だった。
「そういうことです」
「反面教師ですか?」
「そうなんですか?」
「その場合もありますが」
 反面教師、それもあるというのだ。
「ですがそれでもです」
「皆が先生で生徒ですか」
「それが学校なんですか」
「学校とは限りません」
「あれっ、限らないって」
「それって」
「社会、世の中全体です」
 その全てがだというのだ。
「全てが学校でありです」
「誰もが先生ですか」
「それで生徒なんですか」
「このことはお二人ならやがては」
 必ず、だというのだ。
「おわかりになって頂けます」
「だといいんですけれど」
「そうなら」
「ではです」
 それならと言ってだ、高代は。
 前を観たままだ、二人にこうも言った。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ