第二章
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回ってホテルに戻った。暫く何となくぼうっとしているとガイドさんがやって来た。
「ゆっくりされましたか?」
「街を見ていました」
「シェスタはされなかったのですか?」
「どうにも目がさえていて」
俺はあの少女のことは伏せてこう述べた。
「それで」
「左様ですか。けれど気を着けて下さいよ」
「治安ですか?」
「そうです、ここは日本ではありませんからね」
スペインは今の日本よりも治安が悪い。治安が悪くなったと言っても日本はまだいい方なのだ。スペインはそれと比べるとやはり悪いのだ。
「ひったくりも多いですしね」
「そうなのですか」
「まあそこんところは気をつけて下さい」
「ええ。ところで夜は」
「女の子がどうとか言っておられましたね」
「そんなお店ですか?」
「表と裏両方がある場所ですよ」
ガイドさんはそう言うとニヤリと笑ってきた。
「これはセニョリータには決して教えない場所です」
「それでは」
「はい、それです」
ガイドさんは実に流暢な日本語で話してくれた。それにしても本当に日本語が上手い人だと思った。
「宜しいですか。まずはフラメンコ」
「はい」
「それが表で裏は」
「宴と」
「そういうことです。では少ししてから行きましょう」
「少しですか」
「スペインの夜は長いのですよ」
今度は何か思わせぶりな笑みだった。
「何かとね」
「ではまた」
「はい。またワインを楽しみましょう」
「ワインが多いですね」
これには少し驚かされた。
「ワインは情熱の飲み物ですよ」
「いや、それでも」
「スペインは情熱の国。だからこそワインが飲まれるのですよ」
「ではまた」
「そうです。楽しみましょう」
「わかりました。では」
「まあ後でね。ゆっくりと」
俺達はとりあえずは日本のことを話したりして時間を潰した。それが終わってからようやくガイドさんの紹介する店に入った。木と白い壁の店だった。前にステージがある。テーブルに着くとやはりワインが出て来た。肴はチーズに生ハムだった。
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