第三次ティアマト会戦に関する査問会
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かった上で。
「同盟外交安全保障会議にて戦術的敗北を出させたのは委員の英断でした。
この際ですから、ミューゼル提督を徹底的に持ち上げましょう」
ヤンは確信していた。
おそらく、同盟外交安全保障会議にて発言権どころか参加権もないのにも関わらず、戦術的敗北なんてものを出させたのはこの緑髪の政策秘書がついているトリューニヒト氏だと。
それは事実だった。
同盟外交安全保障会議の参加者が判断するデータの編纂に当たっていたのは国防委員会で、その編纂指揮をしていたのがトリューニヒト氏で、緑髪の女性達の同期データをフルに活用してたのである。
「あまり有権者受けする政策ではなさそうだね」
トリューニヒト氏のあまり面白そうでない口調に我慢しながらヤンは淡々と続きを話す。
給料分の仕事ではないなと苦々しく思いながら。
「有権者に受けなくても委員はトップ当選するでしょうから。
選挙に磐石な方はそれだけで、損のように見える手が打てますからね。
帝国にミューゼル提督を消してもらうのです」
トリューニヒト氏だけでなくこの場全員に興味の視線がヤンに集まる。
ヤンはそれを気にする事無く、続きを口にした。
「帝国内で更なる権力闘争が勃発しているのはご存知のはず。
ヴァンフリート会戦ではブラウンシュヴァイク公側のシュターデン提督が敗北しています。
これに対してリヒテンラーデ候側は政治的優位を確保し続ける為に、艦隊を派遣したのです。
同規模艦隊にてほぼ同規模の同盟軍相手に勝利。
リヒテンラーデ候側はしばらく我が世の春を謳歌するでしょうね。
ですが、このミューゼル提督というのもリヒテンラーデ候にとっては不本意な駒だったみたいなのです」
モニターに同盟諜報部が調べたミューゼル提督のデータが並べられる。
第三次ティアマト会戦の勝利によって、ラインハルト・フォン・ミューゼル男爵は大将に昇進し、先ごろ亡くなったグリンメルスハウゼン伯爵領と伯爵位を継ぐ事が決定している。
グリンメルスハウゼンの名前は故人の希望でそのままにして、ミューゼル伯爵は断絶した名家の苗字が与えられるそうだ。
同盟諜報部の報告によると、今回のミューゼル提督の出撃はこのグリンメルスハウゼン伯爵領継承の為の志願だった事が判明していた。
「ミューゼル提督は、グリンメルスハウゼン伯爵領代官時に大貴族から嫌がらせを受けていますからね。
その為、リヒテンラーデ候側に駆け込んだみたいです。
で、帝国内戦による帝国軍の混乱から出征艦隊を用意できないと言われた彼は、あの艦隊を自前で用意したみたいですよ」
ミューゼル艦隊15000隻の内、彼の自前艦隊は5000隻ほど。
残りは敗北して自殺したシュターデン提督の艦隊か
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