暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説 アンドロイド達が見た魔術師
第三次ティアマト会戦に関する査問会
[3/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
行と状況説明を行っているのが作戦部のフォーク中佐。
 起こってしまった事に対する状況分析をさせたら他の追随を許さない分析能力を持つ。
 それゆえに、突発事態に弱いのは仕方がない事ではあるのだが。

「帝国軍のやつら灯台を占領したのか!」

 航路の安全をつかさどる灯台占拠にキャゼルヌ少将が激昂するが、それを押し留めたのがヤンの低い声だった。
 帝国軍の狙いが何か分かったからである。

「自分達の航路情報が漏れる事を恐れた……」

「ヤン。それはおかしいぞ。
 ティアマト星系なんて帝国でも大まかな航路データは持っているし、こちらも馬鹿ではないから即座に監視衛星等で情報を集めだしている。
 やつら何の目的の為に……」

「……だから、それを狙っていたんですよ。
 灯台占拠で航路情報を隠して帝国軍は何かをやろうとしている。
 こちらの意識を誘導したんです」

「あ!」
「!!」

 こういう時のヤンの鋭さは緑髪の中将は記憶の彼方から人形師に散々聞かされたが、現実に見るとその鋭さに戦慄を隠せない。
 だが、中将の戦慄など気にせずにヤンはモニターを食い入るように見つめ続ける。

「おそらく、同盟軍はこの時点で心理的先手を取られています。
 数で勝っているのだから、敵を見つけ出して叩いてしまえば良かったのに、数に驕って後手に入ってしまった。
 選択肢があるがゆえに迷って、最初に狙っていた美味しい物を別の人に取られてしまったようなものです」

 ヤンの説明を補足するかのようにフォーク中佐がモニターの中で陣形を動かす。

「この救援報告に対して方面軍司令部は救援を決定。
 第四艦隊に近隣星系警備艦隊を集めた一個分艦隊を足して救援に向かいます。
 この時点で同盟軍は数の有利を放棄しているように見えます」

「この時点において方面軍司令部では、同数と戦っても後で追いついて挟撃できると判断していました。
 帝国艦船より高性能な護衛艦艇を中心とする近隣星系警備艦隊を編入しているのはそれが理由です」

 モニター向こうのフォーク中佐の状況説明に方面軍司令部幕僚から補足説明が入る。
 それを聞きながらヤンがその先を手品でも明かすような口調で説明してみせる。

「彼らにとっては、こちらが何処から来るかさえ分かれば良かった。
 更に、この会戦自体が帝国内部の権力争いにおける政治的得点稼ぎでしかないと分かっていたのだから、全艦隊で押し切ってしまえば良かったんです」

「だが、それは無理な相談だそ。ヤン。
 ティアマト星系は要衝だから、民間人を避難させたと言ってもかなりの数の非戦闘員がいた。
 そんな彼らを置いて全艦隊を出すなんて、どれだけの提督ができると思っている。
 勝てばまだいいだろうが、今回み
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ