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《SWORD ART ONLINE》ファントムバレット〜《殺し屋ピエロ》
約束
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早く治るもんだな」
休戦の意をこめて手を差し出し、彼女が立ち上がるのを助けようとする。
「......」
少女と言えば当然のように無視を決行。自力で起立してそっぽを向く。どうやら積極的になれ合うつもりはないらしく、またこちらも生意気な態度にイラっときていたので、険悪も甚だしい空気である。
「......バレット オブ バレッツ」
「あ?」
突拍子もない言葉にメイソンは雑な相づちを打つ。《バレットオブバレッツ》とは月に一度行われる大会の名前であるが、まさかそれをネタに談笑しようという腹づもりではあるまい。
「一週間後に開催される大会、その腕なら必ず決勝トーナメントまで上がってこれる。そこで決着をつけるっていうのはどう?」
射るような視線と共に、殺意を真正面からぶつけられる。なるほど、悪くない。自分は出場経験こそないものの、そこでなら最高のクライマックスが演じられそうだ。
「......乗った。だが問題が一つ、お前は決勝まで上がってこれるのか?」
これ見よがしの挑発に、少女は形の良い眉をぴくりと動かして見せた。
「安心して。あんたの巫山戯た仮面みたいに全員粉々にしてやるわ。そっちも油断して無様をさらさないように気をつけて頂戴」
威勢のいい啖呵に思わず笑みが浮かぶ。そうでなくてはいけない、たとえ虚勢であったとしても勝ち気な態度が勝利を手元に呼び寄せる。どれをとっても彼女は好敵手として充分な人間だと理解できた。
「あっは、じゃあノープロブレムだ」
「ふん、待ってなさい。きっちりと借りは返させてもらうわ」
「借りねぇ......そういやこっちもだ、俺のお気に入りをぶっ壊しやがって」
げんなりしつつ顔を撫でる。戦闘中はもちろん、それ以外の時も仮面を外したことがなかったので、自分でもアバターがどんな容姿をしているか忘れてしまった。
そこで初めて笑みらしきものを浮かべた少女が、腕を組んで溜め息ともつかない吐息を漏らした。黄昏を背にしたその姿が炎の中に浮き立っているように見える。
「じゃあ、お互いに因縁浅からぬ仲というわけね。......名前を聞いてなかったわ、差し支えなかったら教えて」
メイソンは意外に思って片方の眉をひょいと上げる。名前など聞きたくもない、と一刀のもとに切り捨てる質だと見ていたのだが、なかなかどうしてわからないものだ。
「俺はメイソンだ」
「私はシノン」
胸に手を当ててシノンと名乗った少女は自己紹介する。
「覚えておいて、あんたに風穴をあけるプレイヤーの名前よ」
ちゃんと後ろにそう付け加えるあたり彼女も相当手強い。ひとしきり笑ってから、心のなかで”シノン”という印象を転がす。
なぜかこの名前は忘れないだろうと
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