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《SWORD ART ONLINE》ファントムバレット〜《殺し屋ピエロ》
約束
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いうふうに目を見開いたのも一瞬、狙撃銃が容赦なくメイソンに狙いを定める。しかし片足を損傷した彼女の姿勢は安定せず、AGI型であるこちらの初動の方が遙かに速い。
長大な銃身を思い切り蹴り上げる。がいん、と甲高い音をたて宙を舞うスナイパーライフル。それでも少女は諦めることせず、腰に装備していたサブアーム......MP7を引き抜き構えようとした。
「ちっ」
口中に舌打ちしてその手を押さえに掛かる。手首を捻り上げ後ろに引き倒し、グリップを固定すればどう足掻いても銃口はこちらを向けないはずだった。この際、馬乗りのような格好になってしまうのは目をつぶる他ない。女性特有の甘い香りを黙殺しつつ、自分をここまで追い詰めた敵を改めて観察した。
薄々気がついてはいたが、その容姿は《ガンゲイル・オンライン》に不似合いな美少女と呼べるものだった。
左右で結わえられたショートヘアは淡いブルーの輝きを放ち、ちらりと除く同色の瞳はまるで絶対零度の秘境のようだ。続くやや小振りの鼻梁にすっきりとした頬、引き結ばれた桜色の唇。芸術品めいて整った顔立ちはむしろ氷の彫刻という表現がしっくりくる。
身にまとうミリタリージャケットこそ地味だが、それが逆に彼女の魅力を引き立てるのに一役買っているように思う。純白のマフラーとの組み合わせも決して悪くない。
その眉間にゴリッと銃口を押しつけながら、メイソンは感嘆の溜め息を漏らす。これまでたった1人で自分と渡り合えたプレイヤーがいただろうか。ーーいや、間違いなくこの少女が初めてだ。
であれば、ここは敬意をこめて引き金を引くのが礼儀というものだろう。
流れ落ちる長髪を鬱陶しく想いながら、少女の瞳を至近距離から見つめる。悔しさを滲ませつつも、そこに不屈の覚悟を見て取り、メイソンは笑みを浮かべた。
「ーー流石だな。また遊びに来いよ、いつでも相手してやる」
混じりっけない蒸留ずみの本心だった。同時に指と同化した引き金が最後まで押し込まれ、撃鉄が勢いよく振り下ろされる。
......カキン!
下らぬジョークでしらけたような沈黙が2人の間を漂った。パチクリと目を瞬くのもつかの間、ひどく混乱しているらしい少女と目があって、メイソンは次の行動を起こさざるを得なくなった。
ーーすなわち腑がよじれるほど大声でゲラゲラと笑ったのだ。
「くはははははっ! あんまりだろうよぅこんなオチは、くっふふふ! まったく締まりの悪いことこの上ないぜ、あっはっはっはっは!」
なんのことはない。マガジンには弾が一発も残っていなかったのだ。そうとも知らず、威勢のいい決めゼリフまで吐いてしまった自分はどれほどの間抜けなんだろう。まさに道化師の立ち振る舞いではないか。
笑いの爆発はなかなか
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