暁 〜小説投稿サイト〜
《SWORD ART ONLINE》ファントムバレット〜《殺し屋ピエロ》
約束
[1/5]
[8]
前話
前書き
[1]
次
最後
[2]
次話
〈5〉
「あっ......ぐ」
訳も分からず揺れる視界の中で、飛び散った仮面の欠片が宙を舞う。
《宇宙戦艦の装甲板》という特殊なアイテムで製造した防具は、どうやら最後までその役目を全うしたらしい。現にメイソンはHPの大半が吹き飛んだが、ギリギリの所で生の淵に踏みとどまっている。
目眩に似たバットステータスを覚え、口からうめき声が漏れた。
どんなに堅い金属であっても直撃の衝撃までは防ぎきれない。大きく体がのけぞり、首の後ろで結っていた髪が扇のように広がった。
目の前で揺れるその艶を眺めながら、”俺”は激しいデジャブに襲われていた。
長い髪。
俺はずっと後ろに隠れてきた。
そして母親の裾をつかみその長髪に顔を埋める。幼い頃は全てがそれで満たされて、無償の優しさが必ず我が身を守ってくれた。
甘え癖、と言うのだろうか。
小学校に上がっても癖は治らず、ことあるごとに俺は「お母さん」と泣いて、その慰撫に甘え続けた。周囲から見ればさぞ滑稽な姿だったのだろうが、俺はそんなこと歯牙にもかけなかったし、両親も笑いながら容認し続けた。
あの事件が起こるまでは。
結果、父親は物言わぬ人となり、母親は毎晩泣くようになった。
誰も俺の事は責めない。あれは不幸な事故だった、君にはどうすることもできなかったと、またしても無償の優しさで俺を包み込む。
だけど、違う。子供だからって何をしても許される訳じゃないし、あの恐怖、絶望の中で行動を起こした女の子を俺は知っていた。
情けない。本当に情けない。
結局、俺は最後まで誰かの背中に隠れることしかできなかった。臆病で泣き虫な自分の全部に嫌気がさす。
変わりたい。あの子に謝りたい。
それが俺とメイソンの強くなる意味ーー
現実
(
リアル
)
と
仮想
(
バーチャル
)
が混ざり、意識を強引につなぎ止めた。
露わになった双眼にギラリと強い光が宿る。
「糞があッ!」
”メイソン”は怒りのままに吠えた。
ーー本当にしてやられた。5階から一気に飛び降り、空中で相手の脳天を狙撃。思いついたとしても一体誰が実践できよう。その度胸に舌をまく一方、見逃すことのできない屈辱をひしひしと感じた。
さっきの拍子に左の銃を取り落としていたメイソンは、残った右手の《ウージープロ》を振りかざし、素早く周囲に目を走らせる。
幸いにして自分の意識が飛んでいたのは、ほんの僅かな時間に過ぎなかったらしい。
背後で無防備に転倒している少女が目に入る。あの落下でHPが残っている事実に驚愕しながらも、素直にその奇跡を感謝する気になった。
「よぉ、お互い運が強いな」
「っ!」
信じられない、と
[8]
前話
前書き
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ