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ハングリー=アイズ
ハングリー=アイズ
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何度でも観ている。俺も飽きるまで観た。台詞を全部言える程だ。特にダースベイダーが好きだ。
「だったらいいじぇねえか。それでな」
「ああ」
 あいつは完全に俺に顔を向けてきた。
「この前の話だけどな」
「夢のことかい?」
「ああ。それって結局何かをしてえっていう目標のことか」
「難しく言うとそうなるだろうね」
「難しくかよ」
「そうさ。簡単に夢って言うだろ、普通は」
「そういうものか」
「普通はそうだろ。違うのかい?」
「いや、そう言われてもな」
 俺にはとんと見当のつかないことだった。
「よくわからねえや」
「まあいいさ」
 あいつはそれを聞いたうえで俺に対してそう言った。
「そうしな。それでいいから」
「そうなのか」
「ああ。夢を持つんだよ、いいね」
「わかったぜ」
「よし」
 こうして俺はとにかく目標を持つことにした。同時に本当にあいつが好きになってきた。一緒にいたいと思うようになってきた。惚れちまったわけだ。
 何となく目標が見えてきた。とりあえず俺は金を貯めることにした。
 仕事を増やした。バイトをはじめた。そして好きだった酒を止めた。煙草も止めた。
「何かあったのかい?」
「別に」
 俺はぶっきらぼうにそう返した。
「ただな。夢を持ったんだよ」
「やっとかい」
 あいつはそれを聞いて顔を明るくさせた。
「そうさ、今その夢の為に頑張ってるんだ。どうだい」
「それだよ」
 あいつは俺を励ますようにそう言ってくれた。
「そうやって夢を持ってるとね、いいんだよ。そうしたらやれるだろ」
「ああ」
 その夢が誰なのかはあえて言わないでおいた。
「やってみるぜ、応援してくれよ」
「勿論さ、それが適ったら二人で飲もうな」
「約束だぜ」
「おう」
 そして俺はただひたすらがむしゃらに頑張った。遂に金が貯まった。俺はあいつの誕生石であるオニキスを買った。あいつの誕生日にそれを渡すつもりだった。それから言うつもりだった。つもりだった。
「ケッ」
 俺は今港にいる。あいつとのことが頭にどんどん浮かんできた。それだけで嫌になる。
「こんなことになっちまうなんてよ。何でだよ」
 俺の青い目に何かが出て来た。涙だった。
「くそっ」
 それだけでさらに嫌な気持ちになった。無生に辺りに怒鳴り散らしたくなる。だが誰もいない。
 手の中にオニキスがあるだけだ。俺はそれを海へめがけ投げ込んだ。もう必要のないものだからだ。
「こんなもん」
 もういらない。渡す相手のねえ宝石なんざゴミと一緒だ。同時に俺の夢も投げそうになった。だがそれを何かが止めた。俺の手が止まった。
「いや」
 それを
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