第10話 弱虫番長登場!? 喧嘩はダメ、絶対!
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見えるんじゃないの? 思い切って怖くないって思ってみたら怖くなくなるかも知れないよ」
【そ、それってかなり無茶苦茶なんじゃないの?】
「良いの良いの。世の中なんて所詮そんな感じで出来てるんだしね」
手をヒラヒラさせて満面の笑みを浮かべる美智。そんな彼女の笑顔を見た喋る救急車は、ふと自分が震えていない事に気付いた。彼女が励ましてくれたお陰で今まで抱いていた恐怖心が消え失せていたのだ。
【有り難う、美智さん。僕分かった気がするよ。確かに危険な場所へ飛び込むのは怖い。けど、僕が行かなかったせいで大勢の人が不幸な思いをするのはもっと怖い!】
「宜しい、それでこそ男の子だね! それじゃ、何をすべきか分かってる?」
【勿論! けが人は僕が責任を持って安全な場所まで避難させます。だから美智さんや番さん、それに運転手さんも安全な場所まで逃げて下さい】
何時になく喋る救急車が逞しく見えた。今までの情けない姿から180度雰囲気がガラリと変わっているのが見える。何とも男らしい姿であった。
「へっ、良い事言うじゃねぇか。そんなお前を一人危険な場所に送るなんて事したらこの轟番様の名が廃るってもんだぜ。悪いが俺も一緒に行かせて貰うぜ」
【え? でも危ないですよ】
「心配するな。自分の身位自分で守れるさ」
【分かりました、お願いしますね】
「おう!」
親指を立てて笑みを浮かべる番。自信満々な様子を浮かべている。
「番、大丈夫なの? 相手はデカブツだよ? 流石の番でも勝ち目ないんじゃない?」
「心配すんなよ美智。例え相手がデカブツだろうととことん喧嘩を挑むのが喧嘩道って奴さ」
番は昔からそうだった。初めて番を知ったのは美智がまだ小学生の頃。その頃の番は喧嘩を売られれば例え相手が大人でも喧嘩を挑むほどの喧嘩馬鹿だった。そんな番を何時も美智は微笑みながらも心配し続けていた。だからこそ、今の美智の口からは、この一言が出てきた。
「喧嘩が好きなのも良いけど、怪我だけは気をつけてね。番」
「ちぇっ、お袋と同じ事言うんだな。お前って」
頬を紅く染めて鼻っ柱を掻いて照れ隠しをした番。案外純情かつ初心なようだ。
照れ隠しをする為に、番は急ぎ喋る救急車と共に激戦区へと駆け出した。
近くに美智が居なければバンチョウと合体してゴクアク組と戦う事が出来る。別に素性が割れても問題は無いのだが、生憎自分は番長。世間的に言えば不良に分類される。不良と称されてる自分が世の為人の為にせっせと働いているなんて知れたら恥ずかしさの余り大手を振るって表を歩く事など出来ない。
単にそれだけだったりする。本来ヒーロー物であれば素性がばれると周囲に被害が出るとかそんな辺りを想像しそうだが、生憎喧嘩だけが目的の勇者番長にそんな気配りなど無に等しかったりする。
【よぉ、もう良い
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