第10話 弱虫番長登場!? 喧嘩はダメ、絶対!
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やら救急車だったようだ。
その救急車の横で搭乗者が大声で何かを叫んでいるのが見えたが、生憎内容は聞き取れない為もう少し近づいてみる事にした。
「おいこらぁ! 天下の救急車がスピード違反しやがって! 危うくひき殺される所だったんだぞぉ!」
「あ、あぁ……すまない。実はこいつがさぁ―――」
搭乗員がそう言い停車してある救急車を指差して見せた。その仕草に疑念を感じた番はフロント前に移動し、前から例の救急車を拝見してみた。
前から見ても只の救急車にしか見えない。特に何ら変わった所など見えそうに………
【やっぱり僕には無理だよぉ! あんな血塗れの人を積み込むなんて怖くて出来ないよぉぉぉ!】
突如、救急車からひ弱そうな声が聞こえてきた。中には誰もいない。どうやらこの救急車自身が声を発していたようだ。
「わ、びっくりしたぁ! 最近の救急車って喋るんだねぇ」
「喋る訳ねぇだろうが! ったく、こんな時に何だって面倒な奴と鉢合わせしちまうんだよ」
物珍しそうに眺めている美智の横で、番は天を仰ぎたくなった。
ただでさえ面倒毎が立て込んでるというのに更に面倒な出来事が起こったからだ。
目の前の救急車は明らかにバンチョウやレッド達と同じ異星人の分類に属されている。つまり、このまま放置しておく訳にはいかないのだ。
本来なら即座にレッドかバンチョウなどを呼んで事態に当たりたいのだが、生憎今回は近くに美智が居る。彼女の近くでバンチョウを呼ぶ訳にはいかないのだ。
「全くよぉ、救急車が患者を運ぶのを怖がってどうするんだよ?」
【御免なさい。でも、僕やっぱり怖いんですよ。血塗れの人を見ちゃうと怖くなっちゃって……】
「それじゃ救急車の意味ないだろうが! しっかりしてくれよ」
会話の内容から察するにどうやらこの救急車が患者を運ぶのを嫌がっているようだ。
しかしこいつ変わってるなぁ。
会話を聞きながら番は常々そう思っていた。今まで出合った異星人はその大半が血の気の多い連中で纏められている。
だが、今目の前に居る異星人は何所となく気弱な風に見える。
明らかに今までとは違うタイプの異星人であった。
「とにかくさぁ、その患者さんってどうしたの?」
「あぁ、仕方ないから別の救急車で搬送したよ。にしてもこれじゃ仕事にならないんだよなぁ」
搭乗者が激しく落胆していた。何せ自分の乗る救急車がこれでは患者の移送が出来ず、他の車両に委任する事になってしまう。
それでは仕事にならない。それはとても困る事なのだ。
「ったくよぉ、ついこの間まで普通の救急車だったってのに、先週になって突然こんな感じになっちまってよぉ―――」
「やれやれ、面倒な事になっちまったなぁこりゃぁ」
面倒臭そうに頭を掻き毟る番。このまま放置しておく訳にもいかないだ
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