第1章 悪魔のような聖女のような悪魔
第12話 俺が赤龍帝だ!
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
翌日の放課後、俺は真っ直ぐにオカルト研の部室へ向かった。
思いがけず再会を果たした彼女――アーシア・アルジェントを救うために。
フリード・ゼルセンと対峙した時、あのとき目の前の状況に圧倒されているばかりで、何もできなかった。
本気の殺気というものを初めて浴びた。
思わず硬直してしまった俺は、アーシアに助けられてしまった。
自分の不甲斐なさに歯噛みする。
殺し殺されの世界。
平和な日本の日常というぬるま湯に浸っていた自分にとって、昨日は衝撃的だった。
転生悪魔になって調子にのっていたのかもしれない。
なまじ初陣ではぐれ悪魔バイサーを倒してしまったことも俺を増長させていた。
上級悪魔になってハーレムを作る。
今でも目的は変わらないが、悪魔になることで、否応なおく非日常に巻き込まれてしまう。
そのリスクを考えたことすらなかった。
いや、部長には説明されていたのだ。
三大勢力と呼ばれる悪魔・天使・堕天使は長年敵対関係にあり、戦争をしてきた、と。
その言葉を俺は軽く考えていた。
俺はこれから部長リアス・グレモリーへ直談判に行く。
部長は下手に堕天使と敵対すれば、戦争の呼び水になりかねない、とアーシアの救出に否定的だった。
だから、アーシアの救出に部長たちが協力してくれるかはわからない。
だが、彼女を見捨てるなんて俺にはできない。
いざ決意を胸に秘めて、部室の扉をあけ――――固まった。
目の前には、いつものメンバーのほかに、見慣れない面々がいる。
その内の一人は、昨日、助けてくれた青年だった。
がっしりとした体つきをしていて、浅黒い肌に短い銀髪が映える。
いや、問題はそこではない。
そう問題なのは――
――――存在を激しく自己主張している「犬耳としっぽ」だった。
「って、男の犬耳とか誰特だよッ!」
混乱しながら叫んだ俺は悪くないだろう。
男――ザフィーラと呼ばれていた――は、気にした風でもなく
「昨日あれから、大丈夫だったか?」と、身を案じてきた。
ようやく我に返って慌てて礼を言う。
よくみれば彼は、転移魔法の使えない俺を逃がしてくれた人物だった。
「す、すみません!昨日は、本当に助かりました。碌にお礼もいえず、申し訳ないです」
「気にしないでよい。当然のことをしたまでのこと。怪我がないのならよかった」
と、笑顔で応じてくれた。
顔も性格も態度もイケメンな好青年に、珍しく好感をもった。
やっぱり、犬耳しっぽをつけたままだが。
真面目な話をしているのに、思わず脱力してしまう。
いつものように嫉妬できないのも、それが理由だろう。
「彼に説明していな
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ