5『第一層攻略会議』
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そして――――ディアベルはイタリア語か何かで『悪魔』の意味だったはずだ。一体どういう意味合いが込められているのか――――
「考えても仕方がない、か」
プレイヤーネームに名前以外の意味を見出そうとすると、得なことなど何一つ起こらない――――誰の言葉だったか。
とにかく、ヘルメスはエギルの言葉に耳を傾けることにした。
「キバオウさん。あんたが言いたいことはつまり、元βテスターたちが情報を独占したから、初心者たちが死んだ、という事だな?」
「そ、そうや……」
ガタイのいいエギルの気迫に圧倒されたのか、彼から見れば随分小柄なキバオウは数歩後ずさりした。エギルは、腰の簡易ポーチから、一冊の、文庫ほどの大きさの薄い本を取り出した。
あれは……
「……金やアイテムはともかく、情報はあったと思うぞ。このガイドブック、あんたももらっただろう」
「もろたで。それがどうしたっちゅうんや」
いや。この場で、あのガイドブックを取り出すことには、大きな意味がある。あれは、《鼠》のアルゴが作成したガイドブックだ。どこかのテーマパークを彷彿とさせるロゴマークに、【大丈夫、アルゴの攻略本だよ。】というこれもどこかのゲーム情報誌を彷彿とさせるキャッチフレーズの書かれた、あの攻略本は……
「このガイドブックは、俺達が新しい街に来るたびに必ず道具屋に置いてあった。いくらなんでも情報が早すぎるとは思わなかったか?……つまり、この本に書かれている情報を提供したのは、元βテスター以外にはありえないという事だ」
プレイヤー達がざわめいた。キバオウも言葉を失って硬直している。
そう。あのガイドブックは、キリトを始めとする元βテスターの情報提供によって成り立っている。茅場の情報提供によってβテスター並みの知識があるヘルメスも、詳しい詳細は教えられなくても、名称や町の場所などはアルゴに提供した。
「いいか。情報はあったんだ。しかし多くのプレイヤーが死んだ……俺はその理由が、彼らがベテランプレイヤーだったからではないかと思う。ベテランだからこそ、VRMMOという慣れない舞台での引き際を間違えたんだ」
それは、キリトが以前、第一層の街で会った時にヘルメスに話したこととほぼ同じことだった。βテスターは、知識があるぶん、その慢心とでもいうものが彼らを殺した、と。
「βテスターがどうとか、そういうことを話している場合ではないだろう。この失態を生かし、俺達が同ボスに挑むべきなのか、それを話し合うものだと俺は思っていたのだがな……」
堂々と言い切ったエギルに、キバオウは反目の糸口を見つけられないでいるようだった。もしここでほかのプレイヤーが同じ意見を言ったとしても、「そういうお前こそβテスターだろう」と言われて終わ
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