反董卓の章
第20話 「………………魔人」
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今声を大にして叫んだ者。
劉備だった。
「な、ななななななななななななななんですかー!?」
「ちょ、熱っ! なにこれ!?」
周囲の状況に、その脇にいた孔明と孫策も声を上げた。
周辺の一変した状況に、誰もが戸惑い、恐慌を起こす中。
ソレは――声を上げた。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
まるで猿叫。
いや、熊の雄叫びか。
獣のような叫びに、誰もがその場に眼を凝らす。
その時になり、初めて――この現状が『誰』によって起こされたのか、その場にいたすべてのものが直感した。
全身を覆っていた黒い衣は、その色を灼熱の赤へと変化させ、しかもその表面がボコボコとうねっている。
血だらけだった顔は、すでに人のソレとは違い、まるで鬼のような醜悪な容貌に見えた。
そこに居たのは『人』ではなかった。
「………………魔人」
誰かがそう呟いた。
だが、ソレはその場にいた全ての人間の感想だった。
そう、それに相対する、呂布ですら――
「!?」
瞬時にその魔人が消える。
と、同時に何かがひしゃげるような、酷い金属音が周辺に響く。
それは魔人が呂布に攻撃し、それを呂布がその武器にて防いだ音。
だが、呂布は完全に防いだわけではなかった。
自身の体は、宙を舞うが如く飛ばされる。
それを追って、魔人がまた掻き消える。
鈍い音だけが幾重にも響き、土煙と弾かれたような土砂だけがその場にあった。
そして、一際大きく弾かれたような音と共に、再び二人の姿が地面へと現れる。
「「「 …………………… 」」」
誰しもが周囲の異変に気付いていた。
火柱が上がり、溶岩のように噴き出している。
青空だった空は、黒煙と火柱により黒と赤に染められている。
それでも、誰もがその場に固まり、目を向けるのは――
互いに赤い『氣』を吹き上がらせた、人外の二人。
「――待ってた。恋……本気出せる相手」
その言葉は歓喜の言葉。
その内容を周囲が理解した時、ある異変にも気づく。
呂布の身体も、赤い『何か』が噴き出している。
「力、湧き上がる……今までにない力。よくわからないけど……楽しい!」
呂布の体は、魔人と同様に『氣』が体外に噴き出していた。
その姿は元々の褐色の肌に相まって――全身が炎の塊のようにも視える。
「恋、今までで一番本気出せる。たった一人で、なんにも考えることなく! ただ、戦える! 嬉しい! お前もか!?」
まるで狂喜。
普段の呂布を知るものが見れば、違和感しかない変様。
そんな口調の呂布が、赤い氣を噴き上
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