フリーウェイ=ラバーズ
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あった。
「あのおっちゃんが言った意味がわかったぜ」
チッ、と唾を吐く。
「こんな道見たことねえ。これがアメリカかよ、ったく」
後悔先に立たずであった。しかし何を言ってもガソリンが湧いて出て来て車が動くわけではなかった。結局はガソリンがないままであった。
「しゃあねえ、騒いでも何にもなりゃしねえや」
いい加減騒ぎ疲れてきた。その場にどっかりと腰を降ろした。
「親切な人が来てくれるまで待つか。どうにかなるさ」
そのままそこで休みはじめた。二時間程でると今まで来た道から一台の車がやって来た。
「おっ」
彼はそれを見て立ち上がった。救世主到来と見たのだ。
「おおい」
両手をあげて振りながらその車の前に出た。
「悪いが助けてくれないか、お願いだよ」
そう叫んだ。だがここでその車が急に変な動きになった。
「ん!?」
見ればスリップを起こした。道が悪い為にそれにタイヤを取られてしまったのである。
そして道の横に突っ込んだ。そのまま動かなくなった。
「事故ったのか!?」
彼はそれを見て暫し呆然となった。これは流石に考えてはいなかった。
とりあえずその事故を起こした車に向かった。そして大丈夫かどうか覗き込もうとした。その時だった。
「ああ、やっちまったよ」
日本語であった。その声と共に黒い髪の若い女が出て来た。
「おや」
彼はそれを見て思わず声をあげた。これは予想しないことであった。
「ったく。アメリカってのは道が悪いねえ。何で普通の道でスリップするんだよ」
「おい」
彼はそれを見て日本語で声をかけた。するとその女も彼に顔を向けてきた。
「あれ、あんた」
見れば黒い目にアジア系の顔をしている。黒いTシャツにジーンズだ。彼もまた白いTシャツにジーンズだから同じような格好である。この荒野に相応しいラフな格好といえる。
「日本人なのかい?」
「それはこっちの台詞だよ」
彼はそう言葉を返した。そしてさらに言った。
「大変みたいだな。まさかいきなり事故っちまうとは思わなかったよ」
「生憎ね。アメリカの道を甘く見ちまっていたよ」
「俺と同じだな」
彼はそれを聞いてそう言って笑った。
「あんたもかい」
「ああ。この道の悪さでな。ガソリン切れを起こしちまったんだ」
「おやおや」
「それでここで立ち往生してたのさ。正直困っているんだ」
「それで今ここにあたしが来た、と」
「そういうことになるな」
「日本人が二人こんなところで鉢合わせするのも何だけれどね。しかも二人共車で困っているなんて」
「変な縁だな。全く」
彼はそう言って笑った。そして彼女の車の横で話をはじめた。
「さてと
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