第六十九話 二人の参加者その八
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
樹里は屋上の扉を閉めて階段を降りながらだった、こう上城に問うた。
「ねえ、本当にね」
「先生が戦いから降りられたらだよね」
「凄いわよね、そうなったら」
「うん、そうだね」
上城は信じられないといった顔で樹里のその問いに応えた。
「そうなったらね」
「そうよね、ただね」
「信じられないの?」
「あの人達は大丈夫っていうけれど」
それでもだとだ、上城はその顔で言うのだった。
「それでもね」
「信じられないわよね」
「とてもね」
そうだというのだ。
「まだね」
「そうね、けれど」
「うん、銀月さんとお知り合いっていうから」
それでだというのだ。
「あの人に聞いてみよう」
「それがいいわね」
「そうしよう、それで若し先生を止められるなら」
それならというのだ。
「それに越したことはないからね」
「そうね、じゃあ今日にもね」
「銀月さんとお会いしてよね」
「あの人達のことをお話しよう」
「それじゃあね」
二人は智子達をすぐには信用出来なかった、それでだった。
二人が知っているという聡美に会って彼女からの話を聞いてそれから判断することにした、そして実際にだ。
この日の放課後聡美と会った、会った場所は学園の図書館だ。
図書館のドリンクルームで話す、聡美は二人から智子達のことを聞いてすぐに答えた。
「はい、お二人でしたら」
「お知り合いですか」
「そうなんですか」
「古代より」
これが聡美の返答だった。
「共にいる姉妹です」
「じゃあ先生も春日野さんも」
「実際に」
「アテナ姉様もペルセポネーも嘘は言いません」
聡美は二人にこのことも答えた。
「決してです」
「じゃあやっぱり」
「あの人達は」
「はい、貴方達に真実を話しました」
その素顔も力のことも考えもだというのだ。
「実際に私も知っていますね」
「ですね、じゃあ」
「あの人達は」
「疑うことはありません」
それは決してだというのだ。
「信じて下さい、お二人は」
「僕達の味方ですか」
「銀月さんの」
「はい、そうです」
聡美は二人に穏やかな笑顔で答えた。
「戦いを止めようと。実際に考えておられます」
「それでしたか」
ここまで話を聞いてだ、上城は悔やむ顔で言った。
「僕達失礼なことを言いましたね」
「そうよね、あの人達に」
樹里も上城と同じ顔になり彼に続いた。
「信じない様なことを」
「そんな態度を取ったから」
「いえ、それは当然です」
聡美は悔やむその彼等を宥めてこう述べた。
「初対面の相手にいきなりそう言われてもです」
「信じられないですか」
「それが当然ですか」
「世界には善人ばかりがいるとは限りません」
この世の摂理だ、世には善と
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ