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渦巻く滄海 紅き空 【上】
十四 急転直下
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る。その所作は非常にゆっくりだ。緩慢なその動きが逆にドスの恐怖を煽る。
我愛羅はじりじりとドスを闘技場隅に追い詰めていく。完全に理性を失っているのか、にたりと笑う我愛羅。その笑みはナルト以外の観戦者達の背筋をゾクリと凍らせる。

「う…ぁあああァア!!」

恐怖に駆られ半狂乱となったドスが右腕を我愛羅に向けた。彼は右腕に装着した響鳴穿から衝撃音を手当たり次第に放ち始める。
我愛羅が背負う瓢箪から砂が再び溢れ出た。真正面から襲い来る砂の奔流。前方から迫る砂に響鳴穿を構えたドスは、左側からの攻撃に対処出来なかった。
「ぐあ…ッ!!」
左足に砂が絡みつく。ギシリと骨の軋む音が響いた。足を縛る砂をなんとか振り切ろうとするが、それより速く砂が動く。
右腕に武器である響鳴穿を装着しているドスは左側からの攻撃に対処がどうしても遅くなる。我愛羅はそこを狙ったのだ。

砂によって轟沈していく身体。もがいても足掻いても砂の柩からは逃れられない。
砂に囚われたドスの姿を目にして、我愛羅がぺろりと舌舐めずりをした。

(((……マズイッッ!!)))
ハヤテ含む上忍達が、我愛羅の次の行動を察して飛び出す。だがそれより速く――――。



「―――――【砂瀑送葬】!!」
「【疾風(しっぷう)沐雨(もくう)】……」



我愛羅の声を遮るように、静かな声が闘技場に響いた。瞬間、激しい雨風がドスの身についた砂を全て洗い流す。立ち込める砂塵の中に人影が見え、手摺をぎゅっと握り締めていた波風ナルは目を瞬かせた。


視界が晴れる。ドスと我愛羅の間に佇んでいたのは、この場にはいないはずの人物だった。


「……なぜ助ける?」
「同じ里の者を助けるのに理由などいるのか?」
何時の間にか我愛羅の前にて立ち塞がっていた彼――うずまきナルトがにこりと微笑む。その笑みが癪に触ったのか、我愛羅は目を吊り上げた。
「どうせ貴様と闘(や)りたかったんだ…。貴様から先に殺してやる!!」
「我愛羅君、もう試合は終了です!!」
我愛羅の険悪な空気を察し、いらぬ死人を出さぬためハヤテが声を荒げる。ハヤテ同様我愛羅を止めようと上忍達もまた闘技場に降りて来ていた。

「うずまきナルト…!俺と闘え…ッ!!」
ハヤテを無視して我愛羅が呻くように言う。我愛羅の目には今や、対戦相手であるドスもハヤテも上忍達も入っていなかった。彼が唯一視界に捉えているのは、うずまきナルトただ一人。

だがナルトは我愛羅に何も答えず、その場にいる上忍達の顔触れを見渡していた。ナルトの視線を感じたハヤテがごほんっと咳払いして一歩前に出る。
「死人を出さないでくれたことには感謝しています。ですが、試験の規則により…」

ハヤテの次の言葉を耳にして、憤慨した多由也が観覧席
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