第二十七話
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「送り狼は名前の通り、人間を家まで送ってくれる・・・家に着くまで後ろから見守ってくれる妖怪だ。だが、送り狼が持つ側面はそれだけじゃない。家に着くまでに躓いてしまったり転んでしまったものには襲い掛かる、そんな側面も持つ。家まで送り、そのものを守護する善。試練を与え、それに失敗してしまったものを食い殺す悪。こうして、二面性は残っている」
そこで、ようやく一撃を加えることが出来た。
飛んできたところをしゃがみ、腹を思いっきり割いてやった。
「送り狼の持つ伝承はこれだけじゃない。家まで無事にたどり着けたものが送り狼に捧げ物・・・握り飯や草履を与えると、その家には幸福が訪れる。豊穣の神に田畑で取れたものを供えるのは必然のこと。こういったところにも、真神としての名残が残っている!」
「ウガアアアアアアァァァァァァァアァァァァァ!!!!」
真神は怒りから来たであろう雄たけびを上げ、今までのものとは比べ物にならない速度で植物が向かってきた。
あ、マズイ・・・やりすぎたかも・・・
そう思った次の瞬間、浮遊感に襲われた。
「ソウ兄、やりすぎ!」
「悪い!少し楽しかったからつい・・・」
どうやら立夏が俺を抱えて飛翔の術を使ってくれたらしく、向かってきた植物から逃げることが出来た。やっベー・・・かっこわりー、俺。
そして、立夏はもう目視すら出来ない速さで迫ってくる植物を、ほぼ勘だけで、最小限の動きで避け続けている。
みれば瞳の色が翡翠色に変わっているから、天啓も使っているのかもしれない。
「で、ここからどうするの!?もう避けるのもいっぱいいっぱいなんだけど!」
「そうだな・・・多分、あいつが狙ってるのは俺だけだし・・・立夏!まだ操られてない植物がある辺りに俺を投げろ!」
「何言ってるの!?」
まあ驚いて当然だが、時間がない。立夏自身が言っているようにいつまで避けられるかわからない以上、思いついたことをやっていくしかないのだ。
「いいから、早く!」
「・・・ああもう!分かった!行ってらっしゃい!」
立夏はヤケクソ気味に俺を投げた。
そのまま落ちると武器を取れない可能性があるため、蚩尤の権能で金属糸を作り出し、木々に投げつけることで勢いを殺した。いや、それでも痛かったけど。
「ふう・・・あの様子だと、すぐに来るよな。なら・・・穿て、ブリューナク!」
とりあえず、真神がいるであろう方向に向かってブリューナクを投げる。
もちろん、そんなことをすれば真神が操っている植物にも当たることになるが・・・むしろ、それが狙いだ。
「ガア!」
「お、やっぱり来た・・・ってイテエ!」
真神は、自分の操る植物を傷つけられたら裁きをくださなければならない。
だか
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