第48話 男の子は母親好き、女の子は父親好き
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まん丸と大きな満月が闇夜の江戸のかぶき町を照らす中、薄暗い夜道を走っていた。
顔を紺色の頭巾で覆い隠し、その両手には洗濯用の桶を持ち、必死に夜道を走っていた。
まるで何かから逃げるように。頭巾からわずかに見える目からは焦りが伺えた。
着ている服装は地味ながらも花の絵柄が描かれた着物を着ている辺り女性だと思われる。まぁ、女装をした男性、と言う線もあるが今回はその手の事はお忘れ願いたい。
ネタバレ的要因になるが走っているのは列記とした女性なので。
幾度か後ろを確認した後また前を見て走り続ける。それの繰り返しだった。追い掛けているのが何なのかは此処では確認出来ない。しかし、それらが彼女に害を与えるであろう存在である事だけは確かだった。
やがて、女性は持っていた桶を建物同士の間に隠す様に置くと、涙目になりながらその桶の中身を見つめた。
そして、名残惜しそうにしながらもその桶を残し、女性は走り去って行ってしまった。
それから夜が明け、朝が訪れる。そして、それは新しい一日と同時に新しい騒動の幕開けを告げていた。
***
「腐ってるな、こりゃ」
盛っているお椀の中身を見ながらも、銀時は呟いた。彼の目からははっきりと見えるのだ。お椀の中身が腐っていると言う事に。だが、腐っていると言う語源がその言葉通りに回りに伝わる時が必ずそうとは限らないのが世の常だったりする。
「全くアルよ、最近じゃ出来ちゃった結婚とかやっちゃった結婚とかが多すぎるアル! 今日のこの新聞にだってそう書いてあるアルよ!」
新聞紙を片手でクシャクシャに握り締めながら銀時と向い側に座っていた神楽が力説していた。彼女の持っていた新聞の見出しには一面でこう記されていた。
【人気タレントGOEMONが出来ちゃった婚発覚!】
と。どうやら銀時の腐っている発言をそれと勘違いしてしまったのだろう。
「いや、そっちじゃねぇよ。これが腐ってるって言ってるんだよこれがぁ!」
お椀を一同の前に突き出すようにして銀時が尚もアピールをする。普通ならそれで気付くのだろうが、それでも気付かない。もしくは気付かないフリをするのが銀魂クオリティなのであり。それに乗っ取っているかの様に回りで銀時の進言に気付いていない面子が其処に居た。
特に隣に座っている新八に至っては銀時のお椀を見てすら居ない。
「本当ですよ。世の中腐ってますよ。もう少し自分を大切にしていかなきゃ。そう言う出来ちゃった婚をした人達って大概すぐに破局するのが決まりみたいになってるんですよ世の中」
「おい、何時まで気付かないフリしてんだよ。おい、お前も何か言えよ」
新八、神楽は話にならないと判断したのか、今度は神楽の真横に座っているなのはに話題を振り出した。この
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